2025年5月15日、Liberaware(以下、リベラウェア)と九電ドローンサービスは、下水道等のインフラ設備の老朽化や災害リスクの拡大に対応するため業務提携に関する覚書(MOU)を締結したことを発表した。

 この提携により、高経年化しているインフラ設備の点検や維持管理技術の発展だけでなく、地域に適した包括的なソリューションの提供を進めるとしている。

写真:ドローンを手にする2人
左:九電ドローンサービス代表取締役社長 本田 健一氏、右:Liberaware代表取締役 閔 弘圭氏

 下水道をはじめとしたインフラ設備の老朽化は全国的に深刻な問題となっている。熟練工の不足や気候変動などによる自然災害の頻発も加わり、インフラの点検・維持管理を安全かつ効率的に行う重要性が高まっている。

 リベラウェアと九電ドローンサービスは、画像処理技術の検証やドローン機体開発時の実証実験、共催マーケティング施策の実施などで連携してきた。さらに連携を強化し、設備点検や維持管理技術の発展、地域のニーズに適したソリューションの提供を実現するため提携を結んだ。

 この業務提携では、リベラウェアが機体、画像処理技術、開発技術などを提供し、九電ドローンサービスはパイロット人材、機体ラインナップ、地域ネットワークなど両社の強みを生かし、連携を強化する。これにより屋内外でのドローンの利活用と社会実装の加速、デジタルツインの活用促進を図り、両社の持続的発展を目指す。

【具体的なプロジェクト】

  • 九州エリアにおけるドローンによる下水道を中心としたインフラ設備点検の協働および持続可能なインフラ維持管理モデルの構築
  • 狭小空間ドローンIBIS、その他ドローンサービス全般に関する営業活動
  • 機体および周辺機器の販売
  • デジタルツイン(BIM(※1)/CIM(※2)等)の利用促進
  • IBIS等その他ドローンの活用およびDX推進に関する技術検証

 今後、屋内外のインフラを対象にドローンによる調査を実施し、取得したデータをもとに3Dモデリングを行い顧客ニーズに対応していく。将来的にはAIによる劣化状況の自動検知技術の導入を図り、異常箇所や経年劣化の可視化・定量化にも取り組む。これら一連の情報を空間情報とひもづけてCIM上にプロットし、一覧性の高いマッピングビュアーとして構築することで、インフラ維持管理モデルの実現を目指す。

 中長期的には、九州エリアの取り組みをモデルケースとし、全国展開やアジア圏を中心とした海外展開も視野に入れる。

※1 建築や土木のプロジェクトにおいて、デジタルモデルを使用して情報を管理する手法。
※2 都市やインフラの設計・管理において、デジタルモデルを使用して情報を統合・管理する手法。

全国に九州エリアの取り組みが拡大するイメージ図

これまでの主な取り組み

  • BIMモデリングに関する技術検証
     自動点群生成をもとにBIM化の検証や点群化に適した撮影方法を策定。自動作成した点群からのBIM作成が可能かを確認。
  • 狭小空間ドローン「IBIS2」のアシスト機能の検証
     IBIS2の自動ホバリング機能追加時に、幅広い設備と人材で評価・検証を行い、九電ドローンサービスにおける人材育成の方針を検討。
  • 画像処理技術を活用したCIM検証
     異なる撮影方法を用い、撮影した動画からそれぞれ点群データとCIMデータを作成、比較検証を実施。

飛行するIBIS2
屋内の狭小空間を飛行する「IBIS2」
生成された3Dモデル
撮影データから3Dモデルを作成