2025年3月5日、日本化薬は、国土交通省荒川下流河川事務所の協力のもと、同社が開発するドローン用安全装置フロートパラシュートシステムの実証実験を荒川で実施し、河川での有効性を確認したことを発表した。

写真:パラシュートを使用してドローンが着水した様子

 水上を飛行するドローンに対応した安全装置であるフロートパラシュートシステムは、水に浮く機能(フロート)と落下衝撃を緩和する機能(パラシュート)を一体化しており、水上に墜落してもパラシュートで衝撃を緩和し、フロートで浮揚するため機体を回収することができる。

 河川は地上の構造物や上空の障害物が比較的少ないことから、ドローン物流への活用が期待されている。一方で、「不具合が発生して落下した場合の安全対策」「落下した機体が回収できないことによる水質汚染」「機体が回収できないことにより保険会社に保険金を請求できない」という課題があった。

フロートパラシュートシステムの外観、フロートパラシュートシステムの動作フロー図

検証の概要

 河川でのフロートパラシュートシステムの有効性を確認するため検証を実施した。

 検証内容は、物件投下用ドローンを用いて、フロートパラシュートシステムを搭載した機体モックを高度50mから荒川に落下させ、同システムが作動しフロート部分に空気が入り水面に浮遊するか、浮遊している同システムと機体を回収できるかを確認すること。

 検証を実施した結果、投下した機体モックは、パラシュート装置が問題なく展開し降下速度が減速した状態で着水。その後、パラシュート部分に溜まった空気が想定通りフロート部分に入った。その後も河川に流されながらも空気が抜けずに浮力のある状態を保っていた。フロート部分をロープで持ち上げることで機体回収を完了し、装置が河川でも有効であることを確認。回収した機体モックのフレームや部品等に損傷はなかった。

 機体に搭載したデータロガーより取得したデータから、安全装置作動からフロートパラシュート開傘までが20mのため、他の環境でも水面から高度30m以上を飛んでいればフロートも機能すると考えられる。

フロートパラシュートシステムを検証する様子
回収した機体の状態