愛知県と新城市、NEXT DELIVERY、グリーンサービス、Prodrone、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、愛知東農業協同組合(以下、JA愛知東)は、新城市において、物流ドローンを活用した新スマート物流の長期事業化に向けた調査を行う実証実験を開始したと発表した。
この取り組みは、ドローンや空飛ぶクルマ等の次世代空モビリティの早期社会実装などを目的とする「あいちモビリティイノベーションプロジェクト」の一環であり、2025年11月28日にその様子を公開した。
複数の荷主の商品をまとめて同じ納品先に配送する「荷物の集約化」と、迅速な配送やコスト削減が期待される「ドローン物流」を組み合わせた新スマート物流の導入可能性を検討するもので、荷物の集約拠点(ドローンデポ)を設置し、物流事業者や地域小売店等の商品を集約したのち、陸送と空送で効率的に配送する。
今回の実証実験では、NEXT DELIVERYとグリーンサービスが主体となり、セイノーHDが物流の基盤づくりや共同配送・集約による物流の最適化を検討する。
実証実験の概要
愛知県は、2023年5月、「革新事業創造戦略」に基づく官民連携プロジェクトの第1号として、あいちモビリティイノベーションプロジェクト「空と道がつながる愛知モデル2030」を立ち上げた。
このプロジェクトでは、ドローンや空飛ぶクルマ等の次世代空モビリティの社会実装の早期化を図るとともに、自動運転車等の陸モビリティとの同時制御により創出される新しいモビリティ社会「愛知モデル」の構築や、次世代空モビリティの基幹産業化を目指し、取り組みを推進している。
2024年2月に策定した「推進プラン」では、2026年度頃をめどに物流分野のローンチモデルとして、河川流域や本土離島間を航路とした物流サービスの実現を掲げている。
2024年度に、新城市の鳳来地域において、物流ドローンを活用した配送サービスを住民へ約1か月間提供する実証実験を実施し、ドローンの機体性能による配送重量の制限、着陸後の荷受へのラストワンマイル配送、料金徴収のオペレーション構築が課題に挙がった。
今回は、課題解決に向けたオペレーションを行い、住民のニーズに基づく内容とすることで、実効性のある事例創出に取り組む。
【実証実験の詳細】
新スマート物流の社会実装を目指し、荷物の集約化、ドローン配送運航体制構築、ドローン配送の住民受容性の向上などを目的に実証実験を実施する。
実施期間は2025年11月17日から12月19日までの約1か月間を予定しており、1日最大5便の配送を行う。使用機体は、物流専用ドローン「PD4B-M-AN」と「AirTruck」。PD4B-M-AN は、ProdroneとNEXT DELIVERYの親会社エアロネクストが共同開発した物流専用ドローンで、今回が初の実地飛行となる。
NEXT DELIVERYが山梨県小菅村から遠隔運航管理を行い、現地での機体管理や補助者業務は地域の配送事業者であるグリーンサービスが担当する。
実証実験では、荷物を集約する拠点となるドローンデポをAコープ作手店の敷地内に設置。AコープのECストア(約100アイテム)からの注文品をトラックやドローンで配送する。ドローン配送は、店内で購入した品物を自身で専用箱にセットして配送を依頼することも可能。受け取り場所となるドローンスタンドは、新城市作手地域内に6か所設置した。実証実験のため配送料は無料とした。
11月28日は、愛設運送がAコープ作手店敷地内のドローンデポまで陸送で荷物(ダミー)を運び、その荷物と同じ配送先のAコープ注文品を混載してドローンで配送した。Aコープ作手店から田代老人憩の家まで、片道約5.6kmを約13分で飛行し、荷物を置き配する形で配送した。カーブの多い山道のため、車で向かう場合は約25分を要する。
【各社役割】
| 愛知県 | プロジェクトオーナー |
| 新城市 | 実証実験の場の提供、地域調整 |
| NEXT DELIVERY | 運航オペレーションにおける遠隔運航と全体管理 |
| グリーンサービス | 現地での運航オペレーション、現地対応全般 |
| Prodrone | 物流専用ドローン「PD4B-M-AN」の提供 |
| セイノーHD | 新スマート物流における共同配送・物流集約の検討 |
| JA愛知東 | 小売り機能とドローンデポの場所の提供 |
