2025年11月28日、パーソルビジネスプロセスデザインは、栃木県那須町と地域課題解決を目的とした包括連携協定を締結した。この協定では、二地域居住促進の支援を起点に、ドローンやデジタル技術を活用した広域エリア連携を通じて、関係人口の創出や地域の持続可能な発展を目指す。

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2025年11月27日に開催された締結式の様子。左:那須町長 平山幸宏氏、右:パーソルビジネスプロセスデザイン執行役員 小野陽一氏

 栃木県那須町では、政府が推進する定住自立圏構想や二地域居住の促進等に基づき、周辺自治体と課題解決に向けた取り組みを行っている。2023年より地域活性化起業人制度(※1)を活用し、パーソルビジネスプロセスデザインは那須町役場に社員を派遣している。その中で、ドローンによる山間部配送の実証事業や空き家調査の実証実験、人材育成に取り組むなど、官民連携で課題解決を進めてきた。

 今回の協定締結により、内閣府が掲げる「地方創生2.0」の方針に基づき、官民連携をより強化した広域なリージョン(※2)を形成することで、複数自治体の共通課題を包括的に解決する持続可能な課題解決モデルの創出を目指す。

 この協定により連携をさらに強化し、以下の施策を推進していく。

・二地域居住促進を通じた関係人口の創出
・広域連携による行政エコシステムの構築および地域経済の活性化
・先端技術を活用した地域課題・社会課題解決の事例創出

 協定では、那須町における二地域居住の促進、ドローン関連のスペシャリスト人材の育成、公共インフラ維持管理の効率化、地域DX推進による課題解決および持続可能な体制整備を進める。また、周辺の複数自治体企業と連携した「広域エリア連携エコシステム」の構築、自治体間や官民の枠を超えた資源やノウハウの共有・連携等の相互協力・補完の実現による住民生活の向上や行政効率化を図り、持続可能な地域社会の実現に貢献する。

※1 総務省が推進する、社員を地方自治体に一定期間派遣し、地方自治体が取り組む地域課題に対し社員の専門的なノウハウや知見を生かしながら即戦力人材として業務に従事することで、地域活性化を図る取り組み。
※2 都道府県域や市町村域を超えて、地方公共団体と企業や大学、研究機関など多様な組織が連携する枠組み。

広域連携構想のイメージイラスト(那須町DX、那須エリア広域連携DX、那須エリア広域連携SX、那須エリア広域連携Digiral Twin)
広域連携構想イメージ

 今後、パーソルビジネスプロセスデザインは、 AIとSX(サステナビリティ)を活用した「現場を変え、より良い仕事の進め方」の実現と、行政と企業が社会課題解決とビジネスを両立し持続的に取り組める環境の創出に注力するとしている。

 これに伴い、ドローン、MaaS、スマートシティ、GXの社会実装の取り組みを、2025年に新設したサステナブルビジネス統括部に包括し、シナジー創出を図る。また、今回の協定の取り組みを基盤に、「人材×テクノロジーによる地方創生ソリューション」のモデル確立を目指す方針だ。

各者コメント

パーソルビジネスプロセスデザイン執行役員 ビジネスエンジニアリング事業本部 本部長 小野陽一氏

 パーソルビジネスプロセスデザインでは、今後の社会課題への取り組みの一つとして「適切な労働移動」と「テクノロジーの社会実装」を掲げています。特に地方では「人口流出と少子高齢化」や「人口減少に伴う公共インフラ維持負担の増大」といった課題がより顕著に現れていると認識しており、これらの解決に向けて地方自治体や企業と連携して挑戦しています。こうした課題は単一の自治体だけでは対応に限界があるため、自治体間や官民間の複合的な連携が不可欠です。

 今回の那須町との包括連携協定の締結を通じて、地域に根差した取り組みを広域的に展開し、関係人口の創出をはじめとする地域課題に対して、「業務プロセスデザイン」「テクノロジーの活用」「適切な人材」を組み合わせて成果を出し、より良いはたらく環境が広がる持続可能な社会の実現に向けて地域支援を推進してまいります。

那須町長 平山幸宏氏

 那須町も全国的な傾向同様に、人口減少と少子化・高齢化が中長期化する中で、地域活性化を図りながら住民の増加を目指す必要性が高まっています。

 2024年10月29日に全国で二地域居住を推進すること、都会と地方を往来しながら暮らせるライフスタイルの普及促進を図り、全国的な機運を醸成することを目的とした「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム」が設立され、那須町は共同代表と事務局を担っています。この事務局業務ではパーソルビジネスプロセスデザイン社とのコンソーシアム組成や地域活性化起業人制度を活用した社員派遣により、町職員の負担軽減が図られ、円滑な事務局運営につながっています。

 本協定締結により、相互の持つ強みを活かした官民連携をより強化し、サステナブルなまちづくりに向けて取り組んでまいります。