2025年11月10日、戸田建設は、CYBERDYNE、セック、川崎重工業、産業技術総合研究所、名城大学、キビテクと連携し、戸田建設のミュージアム「TODAtte?」において、マルチタスクロボットの活用に関する実証検証を行ったと発表した。

 この検証は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」に基づくプロジェクトの一環となる。

写真:戸田建設のミュージアム「TODAtte?」入口、ロボット
実証検証で使用したロボット

 人口減少と高齢化による人手不足が進む一方、建設業界では従来の「新築中心」から「既存建築物の維持・再生」に重点が移行しており、維持管理業務における技能労働者の確保や生産性向上が急務となっている。こうした背景から、戸田建設は、ロボットやセンサー、AIによるデータ活用を組み合わせることで、改修工事や維持管理業務の効率的で付加価値の高いサービスの提供を目指している。

 また、ロボット業界では、単一作業に特化したロボットから、複数の業務を担うマルチタスク型ロボットへのニーズが高まっている。さらに、人と協調して作業するロボットを導入することで、施設の維持管理業務の効率化や、人材資源の有効活用が期待される。

実証検証の内容

 ロボットを活用した建物維持管理業務の効率化に有効な建設関連データの収集および検証を目的として、実証検証を行った。

 CYBERDYNEの業務用清掃ロボットをベースに、カメラやセンサー等を上部に配置。清掃をしながら建物や設備の複数のデータを取得して、そのデータが建物の維持管理業務の効率化に生かせるか検証した。

落下物の検知、メーターの点検、建築・構造物のデータ化、機器の発熱異常検知(左:機器、右:サーモカメラ)、不審者検知(左:人、右:サーモカメラ)

 戸田建設は今後、今回の検証で得た知見をもとに、ロボットによる多機能化とデータ活用の高度化を図りながら、既存建築物の維持・再生における付加価値の高いサービス提供に向けて、技術開発を強化する方針だ。

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