2025年10月22日、Liberaware(以下、リベラウェア)は、CalTa、KDDIスマートドローンと研究開発を進めている「Project SPARROW」について、技術成熟度レベル5(Technology Readiness Level:TRL5)を通過したと発表した。これにより、同プロジェクトは実用化に向けた次の段階(TRL6以降)へと進む。

「Project SPARROW TRL5を通過 鉄道設備の安全・効率的な維持管理に向け次のフェーズへ」、白いボディのドローン

 Project SPARROWとは、リベラウェアが採択された「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」の「安全・安心な公共交通等の実現に向けた技術の開発・実証」分野のテーマ「鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術開発・実証」(補助金交付決定額:52億円)をもとに実施しているプロジェクト。

 鉄道現場の巡視をはじめ、さまざまな点検や災害時の施設確認が可能な自動巡回型ドローンと、収集した情報を閲覧・分析できるデジタルツインプラットフォームを開発し、鉄道インフラ点検の安全性と生産性を向上させる。

 人口減少が進む地方路線で大きな効果を発揮するほか、災害発生時にドローンが現地のデータを収集することで、復旧時間を短縮し、対応力を強化する。これにより、強靭(レジリエンス)なインフラを創造し、安全・安心な社会の実現を目指す。

 TRLは、技術の成熟度を示す国際的な評価指標であり、今回通過したTRL5は「実環境に近い条件下での統合システム検証」を意味する。

 TRL5の結果を通じて、TRL6では鉄道事業者の実需に適うシステムを開発し、TRL7において実地での運用を目指す方針だ。

【TRL5の成果】

  • 鉄道環境対応ドローン:リベラウェア
    飛行中に回避指示があった場合に経路変更して待避し、次の指示を受けて復帰する。
  • 運航管理システム:KDDIスマートドローン
    計画ルート設定と、待避指示および復帰指示を出す機能の実現。
  • デジタルツインプラットフォーム:CalTa
    デジタルツイン上にドローンの位置を表示し、当該位置の撮影映像を再生する機能の実現。
〜2025年9月 TRL5 システム開発、~2027年3月 TRL6 個別環境下の実証、~2028年3月 TRL7 標準環境下の実証
開発スケジュール