ヤンマーホールディングスとソニーグループは、水中センシングに関する技術開発および社会実装を目的に合弁会社「ヤンマーブルーテック株式会社」を2025年9月8日付で設立し、10月1日より事業を開始した。同社はヤンマーホールディングスが90%出資する連結子会社となる。
ヤンマーグループは、養殖技術の研究や海洋設備の開発などを通じた海洋環境の維持・保全に取り組んでいる。ソニーは、センシング技術をエンターテインメントやモビリティなど幅広い分野に応用し、地球環境や社会課題の解決に貢献してきた。
ヤンマーブルーテックでは、海洋生態系の保全や海洋インフラ点検における人手不足問題など、海洋の持続可能性に関する課題の解決に向けた新技術やソリューション創出を目指す。
第一弾として、海中調査や船底洗浄作業で活用するROV(遠隔操縦無人潜水艇)の高度化と実用化に取り組む研究プロジェクトを起ち上げ、技術開発と実証実験を共同で進める。
第一弾プロジェクト:船底洗浄ROVの技術開発
近年、船舶運航にともなう温室効果ガス(GHG)の排出による地球環境の悪化や、船体付着生物の移動が海洋生態系にもたらす影響が問題視されている。国際海事機関(IMO)による法整備や環境規制により、船体付着生物への対処が厳格に求められるようになる一方、現在はダイバーによる洗浄が主流のため人手不足や安全確保などが課題となっている。
ヤンマーグループでは、高圧水噴射式の船底洗浄ROVや、デブリ(船体から除去した汚れ、付着生物など)をマイクロメートル単位でろ過回収できるデブリ回収装置の開発に取り組んでいる。ソニーは、動体歪みのない高感度な撮影が可能なグローバルシャッター方式のイメージセンサーや、濁りや浮遊物など海中環境に適応した画像処理技術、リアルタイムでの自己位置推定技術などを有している。
プロジェクトでは、ヤンマーが開発するROVにソニーの要素技術を実装することで、水中映像の鮮明化や3Dデータ化、自己位置の把握など、従来よりも高効率なROV運用の実現を目指す。船底洗浄作業を効率化し、人に依らない安全かつ安定した運用が可能な新たなソリューション展開につなげたい考えだ。
合弁会社概要
| 会社名 | ヤンマーブルーテック株式会社 |
| 代表取締役 | 不破一郎(ヤンマーホールディングス出向) |
| 設立 | 2025年9月8日 |
| 事業開始 | 2025年10月1日 |
| 本社所在地 | 大阪府大阪市北区茶屋町1-32 |
| 資本金 | 38,830万円 |
| 出資比率 | ヤンマーホールディングス90%、ソニー10% |
| 事業内容 | 水中センシング・ロボティクス技術の開発および社会実装 |