2025年9月29日、TOMPLA(以下、トンプラ)は、顧客と共同でユースケースを創出する共同開発プラットフォームドローン「Small Doctor Build」の提供を開始すると発表した。

 同社は、2024年5月に屋内空間点検ドローン「Small Doctor 02」の提供を開始しており、各現場の環境や用途に合わせた個別開発に対する要望を受け、今回プラットフォームドローンを立ち上げた。

写真:「Small Doctor Build」の外観

「Small Doctor Build」の特徴

 屋内・非GNSS環境の危険な現場業務の新たなユースケースを顧客と構想し、実現することを目的としている。

  • 屋内環境でも安定した機体制御
     衛星測位が困難な環境下でも、VIO(Visual Inertial Odometry)技術により高精度な自己位置推定が可能で、安定した機体制御を実現。
  • 多様なデバイス搭載が可能なペイロード
     深度カメラ、MEMSマイク、臭気センサー、Raspberry Pi Zeroボードなど企業が独自開発するデバイスなどを自由に搭載して屋内環境でドローンを飛行させ、さまざまなデータの取得を目指す。
  • 50cm以下の小型サイズで30分以上飛行
     飛行用部材の軽量化により長時間飛行を実現。(搭載ペイロード重量・形状により飛行時間は変動する)
  • 複数のシリアル通信インターフェース
     SPI、UART、I2Cなど複数の通信方式でドローン本体と外部センサーが連動する。
  • ハードウェア・アプリケーション連動型のシステム開発
     操縦アプリケーションに搭載ペイロードのON/OFF機能を設置するため、操縦者のインターフェースに合わせ、エッジ側で処理を行う搭載センサーと機体搭載のCPUボード側のカスタム開発に対応する。
  • ワンストップ支援
     機能要件の整理からハードウェア・ソフトウェアの開発検証、実地での運用検証、機体製造、現場スタッフへの実装支援、機能拡張まで、一貫したサポートを提供する。

機体スペック(ドローン部のみ)

サイズ(プロペラガード込み)W450mm×L400mm×H110mm
重量(機体本体)260g
積載ペイロード上限400g
飛行時間(ペイロードなし)30分
搭載照明300ルーメン以上(必要に応じて付与)
操縦通信方式S-BUS、E-LRS(CRSF)、MAVLinkに対応

導入事例

 能美防災は、ドローン搭載型の煙感知器用加煙試験器を開発・提供しており、高所やアクセスが困難な場所に設置された煙感知器の加煙試験を行っている。しかし、非GNSS環境下の屋内で天井の煙感知器へ正確にドローンをホバリングさせるには高度な操縦技術が必要であるとともに、一般的なドローンのコンパスや各種センサーは屋内向けに対応していないことがあった。

 そこで両社は共同で「煙感知器用加煙試験器搭載ドローン」を開発。能美防災のドローン用加煙試験器をSmall Doctor Buildに搭載した状態で安定飛行するためのハードウェア設計と、飛行中のバランスチューニングを実施することで、非GNSS環境下の天井付近でも安定した飛行が可能となった。両社は今後も共同開発を進め実績を重ねるとしている。

写真:機体上部に煙感知器用加煙試験器を搭載したドローン
煙感知器用加煙試験器搭載ドローン
写真:煙感知器用加煙試験器搭載ドローンが飛行する様子
テストコースを飛行する様子

 Small Doctor Buildは、建設現場での自動巡視や工場設備の保全・異常検知、独自センサーを搭載したデータ計測など、建設業界や製造業、研究開発分野での活用を想定している。
 トンプラはSmall Doctor Buildを通じ、産業ごとの課題に応じたドローンソリューションを提供するとしている。

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