2025年9月25日、東海旅客鉄道(以下、JR東海)とエアロセンスは、トンネル内で長距離自動飛行が可能なドローンの制御方法を開発したと発表した。10kmを超えるトンネルでの設備点検や異常時対応への活用が期待される。

トンネル内を飛行するドローン

 JR東海では、労働力人口減少に対応するため、ICT等の最新技術を活用した効率的な業務遂行体制の構築を進めている。従来、日々の設備点検や異常時の情報収集は主に係員の目視で行ってきたが、ドローンで取得したデータなどを活用した省力化にも取り組んでいる。

 一般的にドローンは、全地球航法衛星システム(GNSS)を活用して機体の位置を認識しながら飛行している。トンネル内ではGNSSが使用できないため、センサー等を活用して上下・左右の位置と向きを認識し、周囲の構造物と一定の距離をとりながら飛行させる。

 トンネル内での制御方法の一つに3D LiDARセンサーを活用する方法があるが、三次元空間での複雑な情報処理を伴うため時速約10km以下と低速になる。そのため長距離の自動飛行が難しく、長大なトンネルの設備点検には向いていなかった。そこで、GNSSが使用できない環境下でも長距離の自動飛行が可能な制御方法を開発した。

 新しい制御方法では、ドローンに搭載した2個の2D LiDARセンサーにより、あらかじめ指定した飛行位置と実際の飛行位置とのずれを把握し、自動で補正しながら飛行する。この制御方法を搭載したプロトタイプ機を使って山梨リニア実験線のトンネル内で飛行試験を行い、時速約30kmで10km程度の距離を安定して自動飛行できることを確認した。

開発した制御方法を搭載したプロトタイプ機、長距離飛行試験の様子(トンネル内を飛行するドローン)

 今後、新幹線のトンネルのように架線などのさまざまな設備や構造物が存在する環境でも安定した自動飛行が可能か検証を続ける。この技術の実用化により、長大なトンネルでの点検等の省力化を目指すとしている。

建設DXバナー