シンガポールのアグリテック企業であるArianetech(以下、アリアンテック)は、2025年4月、千葉大学(NPO植物工場研究会内)に、日本法人「アリアンテック・ジャパン株式会社」の事業拠点を開設した。

 自社保有の先進農業技術を日本市場に合わせる実証型の研究開発を行い、日本市場を開拓するためのショールームとしても活用する。

 同社の主力製品である高効率LED照明による比較栽培のほか、今後は自動化機械や環境制御×AI・IoTによるスマート農業ソリューションを実証展示するとしている。

写真:高効率LED照明による比較栽培
千葉大学内に開設した事業拠点(R&D拠点およびショールーム)。各種LED照明がどのような特徴を持っているかを、実際の栽培風景を見学しながら確認できる。

 アリアンテックはシンガポールで2001年に設立された電子機器メーカーで、2013年より戦略の重点を農業テクノロジーへと移行。2015年にパナソニックから養液培地耕式人工光型植物工場を受注し、設備導入を行っている。以降、シンガポール国立大学(NUS)、南洋理工大学(NTU)、シンガポール工科教育学院(ITE)、リパブリック工科大学(RP)、テマセク系研究機関などと連携し、植物工場や関連分野の先端技術の研究開発を進めている。

 主力製品には、植物成長を最適化する独自の高効率LED照明「EZYGRO」、栽培空間と栽培に使用する資源の効率を最大化する先進的な植物工場栽培システム「SMART-AGRO」、専門技術者でなくとも効率的な栽培が可能な独自のモジュール型栽培システムなどがある。

 品質が安定しており清潔で農薬を使用しない植物工場産野菜は、徐々に需要が増えている一方、電気代や人件費といった運営コストから、自立的な経営の維持が困難であった。

 アリアンテック・ジャパンは今後、日本において研究機関、業界団体、植物工場・スマート農業関連企業と、生産性や持続可能性を両立させた次世代型農業モデルの構築を目指すとしている。

 なお同社は、2025年10月1日から3日まで開催される「第15回 農業WEEK」(幕張メッセ)に出展し、主力製品のLED照明のほか、自動搬送機械や無人観測システムなどを展示する予定だ。

【展示内容】

  • 1kgのレタス生産を3kWhの電力で実現する高効率栽培用LED(EZGRO第6世代モデル)
  • 大幅に人手を削減する自動型育苗システム(Smartcart Nursery)
  • 農業ハウス用葉物養液栽培自動化システムMGS(ムービングガターシステム)
  • AI搭載ドローンによる室内無人観測システムSYK EYES など
ダイナミック調光システム
SMART-AGRO栽培・育苗・制御システム
SMART-AGRO栽培・育苗・制御システム
展示会での自動作業ロボットの様子(2022年シンガポール・マリーナベイサンズ)