2025年7月25日、北海道大学(以下、北大)、岩見沢市、NTT東日本、NTTドコモは、2019年に締結した産官学連携協定に基づき「心ゆたかな暮らし」(Well-Being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)の実現に向けた新たな取り組みを開始すると発表した。

 農業を持続可能な産業として維持・発展させるためには、労働力不足や気候変動の影響による作物の品質低下・収穫量の減少などの課題を克服し、技術革新を通じた生産性の向上・品質を確保することが必要である。

 4者は、2019年6月に産官学連携協定を締結し、農業ロボット技術と情報通信技術の活用による、スマート農業および持続可能なスマートアグリシティの実現に向けて検討を行ってきた。

 スマート農業およびスマートシティを支える通信環境に関する知見や技術的なノウハウを蓄積した一方、データ駆動型農業の進歩に伴い、通信環境の整備やデータの利活用手法に新たな検討が必要であることがわかった。こうした状況を踏まえ、4者は新たな課題の整理と検討に継続して取り組むこととした。

 スマート農業およびスマートシティを支える、進化したデータ駆動型農業の実現に向けた通信環境の整備やデータの利活用手法について検討する。

 具体的には、多様なデータの収集・蓄積を行い、多方面のプレイヤーが当該データの分析・シミュレーション可能な環境を整備することで、農業分野だけでなく、地域住民生活の質の向上や地域経済の活性化につなげ、「どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指す。

取り組み概要

 4者は協定を継続し、データ駆動型農業の実現に向けて新たな下記3つのテーマに取り組む。取り組み期間は、2025年8月1日から2028年3月31日まで。

1. スマート農業の高度化に向けたデータ利活用の検討

 圃場から収集したさまざまなデータの蓄積・分析手法を検討し、安心・安全かつ効率的な、自動運転農機を活用した農作業の最適化を目指す。また、他分野(防災、社会インフラ等)との連携を含み検討を行う。

2. データ駆動型農業の実現に向けた、通信インフラ整備モデルの検討

 通信環境が十分に享受できない地域の事情も鑑みた、ネットワーク環境の整備およびデータ収集方法や多目的利用方法について検討する。

3. 地域社会DXに向けた課題解決と取り組みの検討

 地域課題の抽出とデジタル技術を活用した対応策の検討により、地域住民の生活の質向上や地域経済の活性化を目指し、持続可能な地方創生とスマートシティのモデルづくりを進める。