2025年7月31日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、同社子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロパイダーのUnifly(以下、ユニフライ)が、次世代エアモビリティの社会実装を目指す欧州の共同プロジェクト「EUREKA」において、空飛ぶクルマ離着陸場(バーティポート)の統合管理に関する技術検証を主導し、実証実験に成功したことを発表した。

EUREKA 集合写真

 EUREKAは、欧州の次世代エアモビリティ社会実装を見据え、空飛ぶクルマ離着陸場の運用標準の策定と、U-space(※1)に準拠した運航管理・情報連携体制の構築を目的とした国際共同プロジェクト。

 プロジェクトには、欧州の共同研究機関であるSESAR Joint Undertaking(※2)主導のもと、AENA(スペイン空港運営会社)、ENAIRE(スペイン航空管制機関)、EUROCONTROL(航空交通管理機関)などを含む35の企業・機関が参加している。

 プロジェクトの中核は、空飛ぶクルマ離着陸場の統合運航管理システム(VCTM)の開発と検証。VCTMは、空飛ぶクルマの発着予定・緊急対応といった運航情報を、複数の関係者間でリアルタイムに共有・調整するためのシステムである。

 ユニフライは、U-spaceサービスプロバイダー(※3)として参画し、ドローンの運航管理システム(UTM)の知見を応用して、VCTMの開発・検証に取り組んでいる。実証実験では、空飛ぶクルマ離着陸場の管理者と共通情報プロパイダー間で情報統合・調整をリアルタイムで担い、VCTMの有効性を技術的観点から検証した。

※1 U-space:欧州のドローンや空飛ぶクルマなど次世代エアモビリティ実装のための規制の枠組みまで含めた運航管理に関する概念。

※2 SESAR Joint Undertaking:欧州の航空管制の近代化プログラム「SESAR」の実行を目的とした、政府機関や企業が参加する共同研究機関。

※3 U-spaceサービスプロバイダ―(USSP):ドローンや空飛ぶクルマなどの運航管理を支援する情報サービスを提供する事業者。

実証実験の概要

実施日2025年7月21日~22日
場所INDRA(スペイン・マドリード)施設内
目的リアルタイム環境下を想定し、VCTMの妥当性・拡張性を検証すること

検証項目

  • 相互運用性
     空飛ぶクルマ離着陸場の管理者、U-spaceサービスプロバイダ―、共通情報プロバイダーなど関係者間で、VCTMを介した情報共有・調整がリアルタイムかつ正確に行われるか。
  • 安全性・効率性
     通常時・障害時(通信断、緊急対応、混雑等)においても、VCTMが安全性を確保し、適切な運航管理を継続できるか。
  • オペレーター支援
     VCTMが、オペレーターによる状況把握や意思決定を適切に支援できるか。

主な成果

  • 空飛ぶクルマ離着陸場の管理者、U-spaceサービスプロバイダ―、共通情報プロバイダー間における高度な相互運用性を実証
  • 通信障害・緊急時・混雑時にも継続可能なシステムの安定性を確認
  • オペレーターによる適切な意思決定支援の有効性を確認


 今回の実証は、プロジェクトのリアルタイム環境下での検証フェーズの集大成として位置づけられており、今後は実際のフィールドを用いたライブデモンストレーションへと進展していく予定だ。