全国農業協同組合連合会(以下、JA全農)、KDDI、KDDIスマートドローンは、2025年6月24日、農作業の労働生産性向上と農業の持続的な発展を図るため、自律飛行型ドローンを活用した事業検討について基本合意書を締結した。
3者は、自律飛行型ドローンを活用した農業分野のサービスを組合員や農作業受託事業者などに提供する。まずは、水稲を対象にした遠隔防除受託サービスについて、2025年度から実証に着手する。この取り組みでは連携パートナーを募り、複数のドローンメーカーの遠隔運航管理を確立し、農業分野の標準規格とするため、2027年度までの事業化を目指す。
具体的には複数のドローンを遠隔操作で運航し、測量や農薬散布などを行う。1人のオペレーターが、高い再現性を持つ自律飛行システムでドローンを管理することにより、機体の安定性を確保し、農薬散布作業の均一化を実現する。果樹など従来は樹形が立体的でドローン防除が難しいとされている品目でも拡大を図る。
機体操縦だけでなく、飛行申請や上空電波(4G LTE)の確保など、ドローン運航に必要なサービスを一体的に提供。組合員や農作業受託事業者の労力やコストを軽減し、農業の持続的な発展に貢献する。
将来的には、KDDIスマートドローンの自動充電ポート付きドローンを利用した測量やセンシング、AIによる生育診断、3D地図を用いた農機の自動運行連携などのデータプラットフォームの構築を検討している。また、Starlink衛星通信との連携による電波不感地帯での安定したサービス提供、遠隔運航オペレーターの育成を目的としたKDDIスマートドローンのドローンスクール分校設置なども視野に、スマート農業技術全般についての事業検討を進める。
日本の農業は、少子高齢化や担い手不足により労働力の確保が困難になっている。解決手段の一つとしてドローン活用が期待されているが、ドローンの購入や操作講習を修了する必要があるなど、導入にはハードルがある。また、操作者一人がドローンで作業できる面積は限られる。
今回の締結は、農業の労働人口減少や高齢化に伴う課題に対し、スマート農業事業を通じて持続可能な解決策を提供することを目的としている。
【各社の役割】
| JA全農 | 農業技術・知見の提供、関係機関調整 |
| KDDI | データ連携システム構築、高精度位置測位およびStarlinkとの連携検討 |
| KDDIスマートドローン | 遠隔運航管理システムの機能拡充開発、運航オペレーター育成 |
