2025年3月26日、OKUMA DRONEは、福島県の令和6(2024)年度「地域復興実用化開発等促進補助事業」に採択されたプロジェクトをすべて完了したことを発表した。
このプロジェクトでは、水素燃料電池セルスタックの国内量産化技術の確立と小型水素燃料発電装置の開発に取り組み、それらの実証実験を実施。高コスト、納期・品質不安のあった海外製品に依存しない、国産で安価な水素活用製品の量産化に向けた第一歩となった。
水素燃料電池セルスタックの国内量産化技術の確立
水素燃料電池セルの商用化については、プラチナ触媒の使用に伴う高コスト化、および触媒吹付工程の歩留まり率の低さが課題となっていた。そこで、プラチナ触媒を用いた国産水素燃料セルスタックの量産時のスペック規定および設計の完了と非プラチナ触媒の開発と新たな触媒吹付工程の確立によって、この課題の解決を目指した。
【主な成果】
- プラチナ触媒による国産水素燃料電池セルスタックの完成
- 非プラチナ触媒を用いて初期MEA(膜電極接合体)評価試験を完了
- 非プラチナ触媒により材料費の低コスト化を可能にし、商用展開への技術的目途を付けた
- 非プラチナ触媒により触媒吹付工程の歩留まり率90%以上の目途付けができた
小型水素燃料発電装置の開発
従来の水素燃料発電装置は、大型であるため可搬できるものが少なく、活用できる場面が限られていた。同事業では、より柔軟な運用が可能な小型水素燃料発電装置の開発に成功した。
【主な成果】
- 1kWおよび3kWの小型水素燃料発電装置を開発・試作
- 防塵・防滴仕様のため屋内外を問わず利用可能
- 台車型設計を採用し、可搬性を向上
- 発電効率60%を達成し、持続可能な電力供給を実現
- 重量50kg以下とし、災害時や遠隔地での利用を想定した設計
地産地消型の水素社会構築に向けたサプライチェーンの確立
日本の水素供給は、海外輸入に大きく依存している。福島県では水素エネルギーの地産地消を目指し、地域資源を活用した新たな供給モデルの構築を進めている。OKUMA DRONEは地元企業や自治体と連携し、水素エネルギーの供給ネットワークを確立するための枠組みを構築した。
【主な成果】
- 「エネルギー・エージェンシーふくしま」水素分科会内に「地産地消型水素社会構築ワーキンググループ」を発足
- 地域に根ざした水素供給網の確立に向けた検討を開始
- すでに産官学含め10社以上の参加表明
OKUMA DRONE代表取締役 李 顕一氏 コメント
本事業を通じて、水素燃料電池セルスタックの国内量産化に向けた技術的基盤の目途付けをすることができました。小型水素燃料発電装置の開発は、エネルギーの持続可能性を高めるだけでなく、災害時の電力供給や遠隔地での利用拡大にも大きく貢献できます。福島県との連携を深めながら、持続可能な水素社会の構築に向け、さらなる技術革新に挑戦してまいります。