KDDIスマートドローン、下田市、静岡県は、2025年2月3日、静岡県下田市で「災害時の孤立予想集落地域の監視・物資輸送に向けて、自立的なドローン運航オペレーション体制を確立する実証」を実施した。

 実証は、市内8か所の災害時に孤立する可能性のある地域に対して、上空電波(4G LTE)を利用した目視外飛行ルートを設定し、遠隔自律飛行(レベル3.5飛行)で実施。これにより、災害時にもリアルタイムで監視を行い、迅速な状況把握や物資輸送が可能となる飛行ルートを確立した。

 また、KDDIスマートドローンアカデミーにおいて、ドローン運航オペレーションを担う人材育成に取り組んだ。選抜された下田市消防団員が二等無人航空機操縦士資格を取得し、同実証のドローン運航オペレーションを行い、自治体による自立的なドローン運航オペレーション体制を整えた。

 さらに、上空電波(4G LTE)に対応したドローン機体の導入を進め、新たな災害対策の一環として実装する。

 なお、この取り組みは、総務省の令和6(2024)年度「過疎地域持続的発展支援事業」に採択され、過疎市町村等が実施するICT等技術活用事業、人材育成事業として実施したものとなる。

実証について

 伊豆半島の南端東海岸に位置し、山間地が多い下田市では、土砂崩れなどの小規模災害が頻発している。地震などの大規模災害時には多くの集落が孤立し、救援に時間がかかることが予想される。長期にわたる人口減少が続く過疎地域であり、災害対策を担う地域人材の確保が課題となっている。そのため、住民が安全かつ安心して生活できる災害対応体制の確立が求められている。

 実証では、災害時に孤立する可能性のある地域のひとつである上大沢地区を被災地と定め、下田市消防団員によるドローン運航オペレーションで、約3km離れた下田市役所(河内庁舎)より監視飛行を行い、上空よりSOSを求める人を確認した。飛行は上空電波(4G LTE)を利用した目視外飛行ルートを設定し、遠隔自律飛行(レベル3.5飛行)により実施した。

Googleマップに示された飛行ルート
飛行ルート
ドローンからの映像が映る運航管理システム画面、ドローンがとらえた地上のSOSサイン
運航管理システムの画面(上大沢地区の様子)
写真:ドローンと下田市消防団、ドローンを操縦する様子
下田市消防団のドローン運航オペレーションの様子
Googleマップに示された孤立する可能性がある地域、各地域への飛行ルート
災害時に孤立する可能性がある下田市内の地域と飛行ルート

【使用したドローン】

写真:DJI Matrice 350 RTK
名称DJI Matrice 350 RTK
サイズ(W×D×H)810×670×430mm(展開時)
重量3.77kg
最大離陸重量9.2kg
通信方式2.7kg
最大水平速度23m/s
最大飛行時間55分
保護等級IP55
動作環境温度-20~50℃


【各者役割】

下田市/静岡県・ドローン実装計画策定
・ドローン運航オペレーション
・地域調整
KDDIスマートドローン・ドローン人材育成支援
・ドローン運航オペレーション支援
・ドローン機体/運航システム提供