ゼンリンは、ドローンの飛行経路設計をサポートする「ドローンルート検索機能」「ドローンルート評価機能」の提供を、2024年11月26日より開始した。同社が保有する各種地図情報を自社サービスと連携できる地図API「ZENRIN Maps API」での提供となる。

 同サービスは、2021年9月に発行されたドローン用地理空間情報に関する国際規格「ISO 23629-7 UAS traffic management (UTM) ― Part 7: Data model for spatial data」に準拠。同規格は、地形や離着陸エリアなどを示す「地図情報」、ドローン飛行の障害物となる建物や鉄塔などの「障害物情報」、飛行禁止エリアやドローンの飛行ルートなどを示す「仮想データ」、気象情報や他の航空機の位置など時間的に変化する「動的データ」の4階層で構成されている。

地図に示されたドローンルート
「ドローンルート検索機能」イメージ(APIを利用して開発したイメージ図)
緑や赤色で示されたドローンルート
「ドローンルート評価機能」イメージ

 ドローンは幅広い分野での活用が期待されている一方、飛行経路の構築には「経路計画に掛かる作業工数の多さ」「設計者のスキルに左右されるルートの正確性」など、コスト面・安全面での課題が多く残っている。

 そこでゼンリンは、作業者のスキルや経験値に左右されない安全な飛行経路設計を支援する機能を開発し、ZENRIN Maps APIに「ドローンルート検索機能」「ドローンルート評価機能」として追加した。

従来の飛行経路の構築方法、システム導入後の飛行経路の構築方法

「ドローンルート検索機能」「ドローンルート評価機能」概要

 ドローンルート検索機能では、ゼンリンの地図データベース上で飛行経路の出発地点と到着地点を入力することで、経路周辺の地物(道路・建物・水路等)情報と、ドローンが落下した際の分散範囲を計算し、リスクの最も低い安全な飛行ルートを自動生成する。

 ドローンルート評価機能は、同APIを使用せずに作成した飛行ルートでも、座標を入力することで安全性を検証することができる。この機能により、専門スキルが求められる経路設計業務の属人化解消に貢献する。

機能紹介イラスト

利用時の設定可能項目

経路作成時の入力項目例

【経路探索】

始点・終点の指定始点・終点の座標を入力。座標を地図上で選択。
経由地の指定経由地の座標を入力 or 座標を地図上で選択。
飛行高度の指定対地高度で飛行高度を入力。(m)

【経路探索補助】

対人工地物距離人工地物と何m離れて飛行を行うかを指定する。
対自然地物距離自然地物と何m離れて飛行を行うかを指定する。
優先・回避地物リスト建物(飛行禁止施設・人口密集施設・一般家屋)、交通(高速道路・一般国道・都道府県道・その他・鉄道)、水系を選択し、選択された地物の上を優先的に飛行する。
風速飛行時の風速を入力。(m/s)
最高対地高度最高対地高度を入力。(m)
飛行速度飛行速度を入力。(m/s)

【飛行許可・禁止エリアの指定】

飛行許可エリアの指定飛行許可エリアの任意の形状を描画して座標を指定。
飛行禁止エリアの指定飛行禁止エリアの任意の形状を描画して座標を指定。