2024年4月16日、エバーブルーテクノロジーズは、同社が開発中の「除雪ドローンver.2」プロトタイプの実証テストを実施したことを発表した。

 山形県小国町、東日本電信電話山形支店が進める「過疎・高齢化社会における雪害課題の解決に関するDXの取り組み」の一環として行った。

地域の除雪課題に関する自動除雪実証実験

 役場の駐車場や通路、道の駅の駐車場や通路、商業施設の駐車場や歩行者用通路などでの運用を想定し、地域の除雪課題に関する自動除雪実証実験を行った。除雪ドローンver.2プロトタイプを利用して、積雪深監視システムからの通知信号をクラウド連携により受信、指定箇所をGPSで位置制御し、無人での除雪運転を実施した。

【1回目】

 実験当日は小国町本庁舎の中庭に積雪がなかったため、雪を運び入れて積雪状態を再現した。GPS情報をもとに8m四方の除雪対象領域を設定した。

 積雪深センサーは赤外線を利用し積雪を検知、LTE回線を用いて観測情報をクラウドにアップロードする。積雪情報クラウドとの連携により、あらかじめ設定したメールアドレスに対して積雪情報をメール送信。除雪ドローンがメールを受信すると自動運転指令を下し、あらかじめ設定した除雪エリアの中を、GPS制御により時速4kmで移動しながら自動除雪ができることを確認した。(図①〜⑥)

実施主事:山形県小国町、東日本電信電話山形支店
実施日:2024年2月15日、16日
実施場所:小国町本庁舎

小国町本庁舎での実証テストの様子

【2回目】

 酒田市日向コミュニティーセンターでも路面が見えていたため、スクロール式除雪機を使って積雪状態を再現した。1回目と同様の自動除雪を行いながら、除雪ドローンに装着したギガらくカメラを利用して降雪・運航状況を撮影し、LTE通信を使ってギガらくカメラクラウドに情報をアップロード。リアルタイムおよび録画映像の確認とダウンロードを、PCとスマートフォンを用いてできることを確認した。(図⑦、⑧)

実施主事:山形県酒田市、東日本電信電話山形支店
実施日:2024年3月7日、8日
実施場所:酒田市日向コミュニティーセンター

酒田市日向コミュニティーセンターでの実証テストの様子

 降雪を自動検知し、無人自動除雪機があらかじめ設定されたエリアを除雪する有用性について、住民が期待を寄せる一方、除雪エリアに人やクルマが入り込んだ場合の自動停止といった安全性の確保や、エリアを拡大しての自動除雪、除雪性能の向上が課題となった。次バージョンではこれらの課題を解決した製品を開発し、2024年度冬に試験的に市場投入、ユーザーテストを実施、そして改良した量産モデルを2025年度に地域限定で一般販売することを計画している。

「除雪ドローンver.2.0」概要

 スズキ製の電動モビリティベースユニットをベースとした自動操縦型除雪機(除雪ドローン)。

形状電動モビリティ
サイズ全長0.9m×全幅0.6m×全高0.5m(本体のみ、排土板等搭載機器含まず)
車両重量92kg(本体のみ、排土板等搭載機器含まず)
装備重量N/A
最高速度前進 6km/h、後進 6km/h
実用登坂角度8度(走行路面状態によって変化)
連続走行距離30km(常温、積載100kg、平たん路にて前進最高速度で走行時)
稼働時間5時間(常温、積載100kg、平たん路にて前進最高速度で走行時)
バッテリーSC38-12(12V35Ah)×2
推進方式DC24V・210W×2(30分定格出力)
安全性能非常停止ボタン/障害物検知センサー/FPVカメラ/LEDライト
その他装備自動操船ユニット「eb-NAVIGATOR2.0」/自動除雪アプリ