2024年7月1日、テラドローンと三井海洋開発は、海洋プラットフォーム向け検査ドローンの共同研究開発契約を締結したことを発表した。同契約は、2023年11月7日に両社が締結した覚書に基づき実施するものとなる。

画像:海洋プラットフォーム向け検査ドローン共同開発

 2023年11月以降、ブラジルでオペレーションを行うFPSO(浮体式海洋 石油・ガス生産貯蔵積出設備)の原油貯蔵タンク内の船体板厚計測業務にテラドローンのドローン技術が導入されている。この結果、作業員による高所作業の低減など、より安全に検査を実施できるようになった。しかし、過酷な作業環境である海洋プラットフォーム向けにさらなるドローン検査技術の最適化が必要で、板厚計測の実施・効率などの課題から、作業員による検査業務を完全にドローンで代替するには至っていない。

 特にFPSOなどでは、20年以上にわたり海洋で操業し続けるために、アセット・インテグリティ(※1)が重視される。原油貯蔵タンクの定期的な検査は欠かせない一方、定められた乗船人数の中で生産作業と並行して検査作業を行わなければならないという制約がある。こうした背景から、海洋プラットフォームでの省人化は業界の共通した課題の一つとなっている。

 両社は将来的に原油貯蔵タンク内での検査作業を完全にドローンに代替することを目指し、現場からのフィードバックをもとにした改善点の洗い出しなど技術的な議論を重ね、海洋プラットフォーム特有の過酷な環境に対応したドローン検査技術を開発することに合意。短期的には検査効率を現状の3倍にするとともに、検査単価を削減させることを目指す。この取り組みにより、同契約を通じて開発するドローン検査技術を広く業界に浸透させ、海洋プラットフォーム操業における業界の共通課題である労働安全環境向上と省人化に貢献するとしている。

※1 アセット・インテグリティ:物理的資産(設備やインフラ)が安全かつ効率的に機能し維持されること。安全性、信頼性、コスト削減、法規制遵守が確保され、競争力と持続可能な成長が期待される。