静岡県川根本町とエアロネクスト、セイノーホールディング(以下、セイノーHD)、KDDIスマートドローンは、2023年12月12日、過疎化等の地域課題の解決に向けて、ドローン配送実証事業を含む次世代高度技術の活用による新しい物流のビジネスモデル構築を目的とした連携協定を締結した。

 同町と、エアロネクストの子会社でドローン事業を行うNEXT DELIVERYは、この連携協定に先駆けて2023年12月3日、4日に災害時の孤立集落へのドローン配送を想定した実証実験(第2回)を実施し、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装を進めている。

 この協定により、ドローンをはじめとする次世代高度技術を活用し、地域発展に資する施策を推進するとしている。

(左から)エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔 氏、川根本町長 薗田靖邦 氏、セイノーHD執行役員 河合秀治 氏、KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文 氏
12月3日、4日に実施した実証実験の様子
モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするサービス「スマートドローンツールズ」(KDDIスマートドローン)の運航管理システム画面

 総人口6,014人(2023年7月現在)の川根本町は、静岡県の中央部に位置し、その約90%を森林が占めている。町の中心地から離れた集落が散在し、高齢化に伴う買い物難民の課題を抱えている。また、有事の際に孤立する可能性のある集落も多く、災害などで道路が遮断された場合の物資輸送の課題もある。

 そこで、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込んだ新スマート物流システムを導入することで、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、次世代高度技術による新しい物流のビジネスモデルの構築に取り組む。

連携協定の概要

締結日
2023年12月12日

協定の内容
ドローンを含む次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。

1. 地域雇用、人材教育、人材育成、および産業基盤整備に関する事項
2. 持続可能な地域交通、地域物流の確保と、住みやすい環境づくりに関する事項
3. 地域防災や地域の脱炭素への貢献、および新しい社会インフラの整備に関する事項
4. 有事の際におけるドローン活用に関する事項

各者コメント

川根本町長 薗田靖邦 氏

 少子高齢化が進む本町において、今後は買い物支援や交通難民対策が必要となってきます。

 物流業界の2024年問題も深刻化する中で、ドローンを上手に活用し本町の地域課題を解決できるよう皆さんと協力していきたいと思います。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔 氏

 川根本町では、9月と12月に災害時の孤立集落へのドローン配送を想定した実証実験を実施し、住民の皆様の強い関心と期待を感じることができました。町は高齢化に伴う買い物難民の課題も抱えており、これらの問題解決と地域物流の最適化を目指し、今回の連携協定締結を機に地上輸送とドローン配送を連動する新スタート物流SkyHubを早期に実装したいと考えています。

セイノーHD執行役員 河合秀治 氏

 セイノーHDは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。川根本町においては、物流各社が協力して既存物流の効率化を図り、さらに、テクノロジーの実装で住民の皆様が持続的に安心して暮せる街づくりと住民サービスの維持、向上を進めます。将来、ドローンによる自動化を視野に入れ、有事に機能するインフラとしても、新たな空と陸の物流モデル構築に向け取組んで参ります。

KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文 氏

 今回、連携協定が結ばれたことを本当に嬉しく思います。私たちの会社は、モバイル通信とドローンを使って、新しい価値を社会に提供することを目指し、2022年4月にスタートしました。私たちが持っているモバイル通信と運航管理システムを最大限に活用し、自然に恵まれ、地域の魅力が溢れる川根本町において、持続可能な地域の物流モデルを作り上げるために全力を尽くして参りたいと思います。