2023年11月20日、広島県神石高原町とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2023年11月17日に同町において、次世代高度技術の活用による新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施したことを発表した。

 セイノーHDとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して実施した。

(左から)KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進2部部長 森嶋俊弘氏、NEXT DELIVERY取締役 広瀬純也氏、神石高原町長 入江嘉則氏、特別養護老人ホーム シルトピア油木施設長 田中瑞穂氏、セイノーHD 事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長 中矢健一郎氏

 今回の実証実験では、油木地区に仮設のドローンデポ(※1)を設置し、ドローン配送を活用した弁当配食サービスを実施する。また、防災・災害発生時に備えて町が育成したドローンパイロットとの連携を模索し、平時から活躍できる人材活用効率化のモデルについても検討する。

 なお同実証実験は、環境優良車普及機構より、令和4年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。

※1 ドローンデポ:既存物流とドローン物流の接続点に設ける荷物の一時倉庫・配送拠点。

実証実験 概要

 神石高原町では生産年齢人口の数が大幅に減少しており、「医療機関の不足」「交通の不備」「教育機関の不足」「商業施設の不足」「山間部の災害リスク」といった、不便な生活環境や地域における産業の縮小による雇用の減少も、さらなる人口流出、少子高齢化を招いていると考えられている。

 こうした背景から、買い物に関する課題について、弁当配送サービスの実施、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として実証実験を実施する。

 実証実験では、仮設のドローンデポとドローンスタンド(※2)を設置し、シルトピア油木から小野社会教育施設(旧小野小)まで片道約6.5kmを、ドローンにより約15分で配送した。

 使用機体は、エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」。機体制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするKDDIスマートドローン「スマートドローンツールズ」の運航管理システムを活用した。

※2 ドローンスタンド:ドローン物流の起点と終点に設置するドローンの離着陸設備・スペース。

弁当を配送するため着陸する物流専用ドローン「AirTruck」(小野社会教育施設(旧小野小))
ドローン配送した弁当(小野社会教育施設(旧小野小))