2023年8月9日、Autonomy HDは、インドのNewSpace Research & Technologies Pvt Ltd(以下、NRT社)と、スウォームドローンを活用した災害管理などのソリューション開発に関する基本合意書を、2023年7月31日に締結したことを発表した。

 NRT社は、数十機から数百機程度が機体間通信により一群となって自律飛行する「スウォーム(群れ)飛行」が可能な自律型で耐久性の強いドローン等、航空防衛分野における最先端技術を用いた製品の設計・開発・製造を手がけている。

 今後両社は、Autonomy HDが有する高度な自律制御技術と知能化を実現する大脳型オートパイロットと、NRT社が有する群制御や群知能としてのスウォ―ム飛行技術により、次世代型インテリジェントUAVの社会実装を目指すとしている。

 Autonomy HDは、2022年10月、NEDOニューデリー事務所の仲介によりNRT社と東京で初会談を行い、2023年3月にインドのドローン産業を視察、NRT社を訪問し、日印国際共同研究の提案を行った。同7月、基本合意書に調印し、在東京インド大使館にてシビ・ジョージ駐日インド大使と面談。8月には栃木県(小山市・結城市)でスウォーム飛行デモンストレーションを実施し、運用能力を確認した。

シビ・ジョージ駐日インド大使に今後の取り組みを報告(在日本インド大使館)

スウォーム飛行デモフライト

 2023年8月1日に鬼怒川河川敷で災害対応スウォーム飛行を実施した。延べ15機の機体間相互通信によるスウォーム飛行で、被災地に残された6~8名の生存者を調査するというシナリオで行った。

 デモンストレーションでは、自律飛行する3種類のドローンを活用。ミッションプランニングや目標設定、ドローン群に固有の特徴を生かし、捜索・救助活動やペイロードの運搬など実際の作業を協力して行った。

発見した生存者をGCS(地上局)上に表示
大型ドローンから小型ドローンを分離
十字型の衝突回避動作のデモンストレーション
1.5km離れた寺院の高精細な映像を表示

 スウォーム飛行はある目的を達成するために集団で協力し、効率的に任務を遂行する。その自律的な動作と集団の連携能力により、効果的な捜索・救助活動、効率的な物流、緻密なデータ収集など、幅広い領域での活用が期待されている。

 ドローン群は最小限の人間介入で個別または集団で行動し、必要な情報を自律的に収集する。高度な装備とカメラを備え、過酷な環境にも対応。異種混成能力を備え、回転翼・固定翼等の異なる種類のUAV間だけでなく、ヘリや地上車両、ロボット等とも連携できる。故障時など一部のドローンが飛行不可能になった場合は、残ったドローンがメッシュネットワークを自律的に再構築し、ミッションを遂行し続ける高いレジリエンスが期待される。