2022年4月11日、メトロウェザーは、既存株主であるリアルテックファンド、DRONE FUNDのほか、新たにグローバル・ブレインが運営するCVCファンドなど12社を引受先とした第三者割当増資等により、シリーズAラウンドにおいて総額約7億円の資金調達を実施したことを発表した。

 今回調達した資金により、ドップラー・ライダーを活用した風況情報を提供するシステム開発を行うとともに、今回参画した事業会社各社と、ドローンだけでなくエコシップや障害物検知技術の開発を進め、社会実装を本格化させる。また、海外展開を視野に入れた組織体制を構築するとしている。

 京都大学発ベンチャーであるメトロウェザーは、独自の信号処理技術を応用し、上空や海上など遠く離れた場所の風の情報を高精度に測定する小型のドップラー・ライダーを開発している。広範囲かつ高分解能での風況観測が可能で、ドローンの安全運航を支える管制に欠かせないものとなる。また、ゲリラ豪雨の事前検知や、洋上風力発電用の風況モニタリングなどの分野への応用も可能である。

 ドップラー・ライダーの活用により、ドローン運行に必要不可欠となるリアルタイムでの高精細風況情報の提供を実現することで、レベル4飛行のハードルとなっている高度な安全性を確保し、ドローン前提社会における必須のインフラとなることを目指す。
 さらに、独自の気象予測シミュレーションを組み合わせることで、都市防災・風力発電・航空・海運・鉄道領域等、ドローン関連だけでなく幅広い分野の市場への参入を進めるとしている。

ドップラー・ライダー

シリーズA資金調達先

既存先
リアルテックファンド
DRONE FUND
日本政策金融公庫(資本性ローン等)

新規先
JGC MIRAI Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン)
KURONEKO Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン)
MOL PLUS(商船三井100%出資CVC)
JR東日本スタートアップ
ACSL1号有限責任事業組合
鐘通
三菱UFJキャピタル
SMBCベンチャーキャピタル
京銀リース・キャピタル

各社コメント

リアルテックホールディングス 代表取締役 永田 暁彦 氏

 言語の壁を超えて全世界70億人にイノベーションを提供する、これを実現できるのがリアルテックの価値です。メトロウェザーはこの実現に大きく近づきました。同社のドップラーライダーを活用したユースケースの拡大、そして空のインフラ構築を、今回参画頂いた事業会社等の力強い仲間と共に、今後もリード投資家として全力で支援して参ります。

DRONE FUND 共同代表パートナー 大前 創希 氏

 ドローン・エアモビリティの社会実装の機運を受け、メトロウェザーの存在感が高まっており、大変頼もしく感じます。人々の頭の上をドローンやエアモビリティが飛び交うレベル4の実現には、メトロウェザーの技術は不可欠なものになっていくと確信しています。本ラウンドでは新たに参画頂いた日本を代表する事業会社の方々と事業を一層加速できるよう、DRONE FUNDとして全力で支援していきます!

グローバル・ブレイン(JGC MIRAI Innovation Fund・KURONEKO Innovation Fundを運営)代表取締役社長 百合本 安彦 氏

 メトロウェザー社のドップラーライダーは、海外含めた競合他社と比較して高スペックであり、また圧倒的な小型サイズと低製造コストを実現しています。風力発電量予測等いくつかの用途での活用が期待されておりますが、特にドローン自動運行への風況予測データ提供において高いポテンシャルを見ています。ドローン自動運行で不可欠となる高い時空間解像度のデータを提供する上で、メトロウェザー社の技術が唯一無二のソリューションとなりうると考えています。グローバル市場を取れるポテンシャルを持つ当社の今後の事業成長に貢献すべく、弊社としてもしっかり支援してまいります。

日揮 未来戦略室/JGC MIRAI Innovation Fund CVCフロントチームリーダー 坂本 惇 氏

 日揮グループは安全・安心で持続可能な社会システムの実現に向けて、革新的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップ企業への投資を行っています。今回の出資に際して、メトロウェザーが目指すビジョンに強く共感し、また、下支えとなる優れた信号処理、風況観測・予測シミュレーション技術を高く評価致しました。今後、日揮グループが培ってきたエンジニアリング技術や各領域の知見を融合させる事で、産業プラント、風力発電領域に加え、新たな社会インフラ構築に向けたイノベーションを起こす事を期待しています。

ヤマトホールディングス イノベーション推進機能 / KURONEKO Innovation Fund シニアマネージャー 足立 崇彰 氏

 風況計測は、安全なドローン運行にとって重要な要素です。メトロウェザー社のドップラー・ライダーは、観測技術の高さとコスト面で高い優位性を持っています。ヤマトグループは、ドローンを活用した「新たな空の輸送モード」を現在構築しており、そのなかでドップラー・ライダーは、必要不可欠なテクノロジーです。今後、協業を通じて、両社がより事業成長できるよう取り組んでまいります。

MOL PLUS 代表 阪本 拓也 氏

 メトロウェザー社の事業ビジョンに共感し、また直近1年間で多様な産業へのソリューション展開をスピーディーに推進されていることに可能性を感じ、この度他の多くの出資者の皆様とともに、ご一緒させていただくことになりました。MOL PLUSはメトロウェザー社が実現を目指す風況予測ソリューションの各産業への社会実装に貢献します。とりわけ海運や海洋事業領域での社会実装について推進させていただきます。具体事例として、今回の出資に際し商船三井の『ウインドハンタープロジェクト』においてドップラーライダーを用いた風況予測の実証実験を共同で取り組みます。今後の取り組みを楽しみにしております。

JR東日本スタートアップ 代表取締役社長 柴田 裕 氏

 ドップラーライダーのテクノロジーを応用して、鉄道工事の課題を解決する…。そんな無謀…否、果敢なチャレンジをいま、メトロウェザー社と一緒に進めています。場所はリアルの鉄道路線(休止線)。そこにドップラーライダーを持ち込んで支障物を検知する実証実験は、なんともダイナミックで斬新なものでした。まだ課題は山積ですが、この技術は未来の鉄道現場に広く活用できると思っています。共創パートナーのメトロウェザー社を、私たちはこれからも応援していきます。

ACSL 取締役CFO 早川 研介 氏

 株式会社ACSLはドローンメーカーとして、ドローンを活用した社会課題の解決に向けた取り組みを進めております。レベル4の法規制整備やデジタル田園都市国家構想の推進、脱炭素化に向けた動きの加速などによりドローンが活用される場面が増えていくことが想定されるなかで、空の風況を適時かつ正確に把握することは、ドローンが安全に飛行するうえで無くてはならないものであると考えております。今後もメトロウェザー社と連携し、ドローンの社会実装に向けた取り組みを進めてまいります。

鐘通 代表取締役社長 松井 宏記 氏

 地球温暖化等による様々な自然災害に対し、現在の技術力をもってしても人類は無力です。そのような得体の知れない巨大な敵に対し立ち向かうメトロウェザー株式会社。様々な視点から自然の可視化に挑む産まれたての企業に無限の可能性を感じ出資させて頂きました。

 同じ京都の企業という事もありますので弊社としても部材調達や最新の製品情報提供等のサポートを全力でさせて頂きます。共に京都から世界へ、これまでに無かった新たな価値を提供して参りましょう。

三菱UFJキャピタル 大阪投資部 次長 矢野 潤 氏

 「風を制し空の安全を守る」を企業Visionとして2015年に設立された京都大学発スタートアップ企業です。これまで培ってきた独自のリモートセンシング技術と信号処理技術に気象情報を組み合せ、高精度の風況観測を実現する小型ドップラー・ライダーを開発しました。ドローン運行のための風況情報提供に加え、都市防災、風力発電など、幅広い分野への展開を目指します。当社の技術が、未来社会における大事なインフラになっていく事を期待して、全力で支援してまいります。

SMBCベンチャーキャピタル 関西投資営業部 副部長 池田 一生 氏

 空を見上げれば物を運んだり測量をしたりしているドローンが当たり前に見える未来、メトロウェザー社の風況計測技術はそのような未来を実現する基礎インフラになり得る技術と感じ今回初めて出資をさせて頂きました。新しい未来の実現の一助になればと思い全力で今後も支援させて頂きたいと思います。

京銀リース・キャピタル 村田 義樹 氏

 「エアモビリティ―社会」と「安心安全な都市生活」の実現に対し、京都大学発ベンチャーとして非常に高い技術力をもって貢献される当社の取組や姿勢に共感し、今回投資を行いました。京都銀行グループとして、今後の当社の成長と発展を支援してまいります。

メトロウェザー 代表取締役 古本 淳一 氏

 この度は既存投資家様をはじめ多くの事業会社様を中心にシリーズAラウンドの資金調達が完了できましたこと皆様に心より御礼申し上げます。

 弊社のドップラー・ライダーは商用ベースでドローンが安全・安心に飛行するために必要不可欠である3次元の風情報をリアルタイムに提供し、高度なオペレーションが要求されるレベル4運航実現の切り札になるものと考えております。このラウンドを機に事業会社様との連携をさらに深め、幅広い市場への参入を図るとともに国内はもとより海外展開の礎を構築し、次のラウンドで本格的な海外展開を果たすことを目指してまいります。