2023年3月20日、ams OSRAMは、発光面を小口径化した小型の表面実装赤外線レーザーデバイス「SPL S1L90H_3」をリリースしたことを発表した。同製品はLiDARや長距離の産業用測距用途において、長距離での性能向上と光学系へのカップリングを容易にする。

「SPL S1L90H_3」(画像:ams OSRAMグループ)

 表面実装型の端面発光レーザーである同製品は、開口部の小口径化(110μm)により発光幅の狭いビームを発振する。905nmの赤外線レーザーの技術は、短パルスLiDAR用途に最適化したものだという。

 レーザーベアチップは同社のマルチジャンクションテクノロジーを採用し、垂直に積層された3層のエミッタで構成。リフローによる表面実装が可能なパッケージ(2.3mm×2.0mm×0.69mm)内にベアチップが実装されている。レーザーのピーク出力は65W。

 こうした特徴により、LiDARによる距離測定、3D光学センシング、SLAM(自己位置推定と環境地図作成の同時実行)などの用途において、長距離でも対象領域を照らすことができる。ドローンやロボット、ビル管理システム、ファクトリーオートメーション機器などでの活用が見込まれる。

 最大50nsのパルス幅での駆動が可能。ビーム発散角は10°(平行)×25°(垂直)で、レーザー端面開口部の小口径により、光学的にも効率的なビーム成形を実現した。インダクタンスは最適化され、2nsより短いパルス駆動にも対応する。表面実装パッケージはクラス3Bの耐腐食性を備えており、熱抵抗も低いため設計の自由度が高く、産業分野での環境下だけでなく、消費者向け製品用途やスマートシティなどに代表される住宅やビル管理システムの自動化用途に適している。

「SPL S1L90H_3」利用イメージ(画像:ams OSRAMグループ)