2023年3月31日、プロドローンは、2023年3月8日~9日、徳島県三好市において、消防庁消防大学校 消防研究センターと中日本航空が実施した「自然斜面における日中・夜間のドローンレーザ計測のデータ精度検証及び運用性向上の実証実験」に協力したことを発表した。

 同実証実験は、土砂崩れや地すべり等の緊急時(災害発生時)における情報収集、特に夜間での計測を目的としている。災害発生現場において夜間に情報収集が可能になれば、夜間時の安全管理だけでなく、翌朝からの救助活動方針を策定し、要救助者の安全な捜索や救助活動を行うことができる。

夜間にドローンレーザ計測を実施する様子

 プロドローンは、2022年2月に消防研究センターが実施した災害時を想定した夜間測量検証試験にも協力しており、今回は、平地に比べて難易度が高い自然斜面において日中・夜間にドローンレーザ計測を行い、ドローンレーザから得られる点群データの精度検証を行った。

 実証実験は2023年3月8日~9日に実施。ドローンを自動航行と手動航行で飛行させるとともに、日中と夜間の計測も行い、それぞれの取得データを比較した。

夜間の実験風景
プロドローンGCS設定画面
国土地理院マップ上で高低差を確認
同実証で取得した点群データ参考例(消防研究センター提供)。DSM(Digital Surface Model)は、数値標高モデル、またはデジタル地表モデルと呼ばれ、地盤(地形)と、その上にある建物や樹木などの地物を合わせた表層面を数値標高モデル化したもの。SDEM(Substratum Digital Elevation Model)は、中日本航空の独自技術により植生下の地表面を鮮明化したモデル。
実施体制
消防研究センター実証実験とりまとめ、検証まとめ
中日本航空測量システムの構築、精度検証
プロドローン飛行協力と機材提供(発電機など)

 消防研究センターの技術研究部地震等災害研究室、主任研究官の土志田博士は、今回の検証について次のように述べている。

 今回の実証実験は、土砂崩れや地すべり等の緊急時(災害発生時)における情報収集(特に夜間での計測)を想定しています。2022年2月に行った際は、平地での測量(愛知県豊田市藤岡ヘリポート)でしたが、今回は高低差のある自然斜面を対象としています。また、今回対象とした自然斜面は地すべり地形(過去に地すべりが発生した地形)で、実際に様々な大学・研究機関において地すべり観測等が行われています。

 本実証では、自然斜面において日中および夜間での情報収集ができました。ただ、自然斜面を対象とした場合には、地形の高低差の問題が大きく、事前準備なしでは災害現場に到着後すぐにドローンを飛行させることは難しいと感じました。特に夜間の場合には、斜面側への飛行は安全上非常に困難だと思われます。今後は架線にも反応できる対物センサーやドローンの機能発展、特に地形追従飛行等が簡易にできるようになることを期待します。

 実証実験で使用した機体はプロドローンの「PD6B-Type3」(レーザ機器を下部に搭載)。国土交通省の飛行許可申請レベル3に対応。ドローン配送事業の本格運用に採用されており、現在も長野県伊那市で配送事業を行っている。機体設計やシステム冗長化により高い安全性を実現。保護等級はIP44、前方衝突防止機能を備える。収納時はアームを折りたたむことで、通常の半分以下の大きさになる。

「PD6B-Type3」(レーザ機器を下部に搭載)
基本スペック
大きさ2,181mm×2,398mm
重量20.0kg(バッテリー4本含む)
飛行時間20分(4.9kg搭載)
バッテリー16,000mAh×4本