2023年3月8日、パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は、ロボットフレンドリーな環境構築に向けて、複数ロボットの群管理制御の実証実験を実施したことを発表した。

 同社は、少子高齢化における労働力不足の解決、施設内での効率的なロボット運用の実現、そして将来におけるロボットの社会実装の加速に向け、施設内で配送ロボットやロボット掃除機など多くのロボットが活躍できるロボットフレンドリーな環境の構築を目指している。
 同実証では、経済産業省補助事業の2022年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」において「複数ロボットの群管理制御の標準化」を受託し、用途の異なるロボットの複数同時運用を可能とするための、今後の標準化に向けた研究開発を実施した。

 パナソニックグループは、2020年度、2021年度の革新的ロボット研究開発等基盤構築事業にも受託企業の下でロボットを開発するメーカーとして参画し、多様なロボットがさまざまなエレベーターに搭乗できるようにするための通信仕様や運用方法等についての研究開発、施設内でのセキュリティドアやフラッパーゲートと連動したフロア内の安全な移動の研究開発を実施している。

 今回はパナソニックHDが事業を受託し、将来の複数ロボットの群管理制御の標準化に向け、確実に複数台を制御する方式として配送ロボットの優先度を高め、ロボット掃除機が退避して運用することで、課題の抽出を行う実証実験を実施した。

 実際のオフィスビルで実施した結果を基に、今後はオフィスビルに限らず公共施設や商業施設など、多様な施設におけるロボットの効率的な運用の実現を目指すとしている。

【実証期間・場所】
実証期間:2022年12月~2023年1月末
場所:パナソニック 東京汐留ビル

配送ロボット(手前:背面)とロボット掃除機の群管理制御

各ロボットの詳細

自動搬送ロボット「ハコボ」

 オペレーターからの指示で、別の階のオフィスフロアまで配送する。クラウドシステムとの連携で自動的にエレベーターに搭乗、経路上に他のロボットがいる場合は、走行経路を確保後に走行し、さらにセキュリティドアを通過し、オフィスフロアまでの自律移動での配送を実現する。周囲環境のセンシングにより人や障害物を認識し、必要に応じて減速・停止することで安全にビル内を自動で走行する。

自動搬送ロボット「ハコボ」

ロボット掃除機 実証モデル

 クラウドシステムと連携し、清掃中に配送ロボットが近づき通過する際には退避する。そして配送ロボットの通過後に清掃を再開し、ロボットの運用を継続する。LiDARを搭載し、共用部(エレベータホールや通路)の掃除環境を自動で認識して隅々まで自動掃除を行う。

ロボット掃除機