2023年1月25日、エアロセンスは、2023年1月20日に実施されたドローンの実飛行による実証実験において、VTOL(垂直離着陸型固定翼)型ドローン「エアロボウイング(AS-VT01)」の運航を行ったことを発表した。同実証は国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所による「河川上空利用ルール」の策定目的で実施したもので、東京都23区内の人口集中地区(DID)での固定翼型ドローンの飛行は国内初(※1)だという。

※1 2023年1月時点、エアロセンス調べ。

飛行中のエアロボウイングから撮影した首都高速道路

 荒川下流部は国の資産や社会経済活動の中枢機能が集積しており、将来的に河川上空で複数のドローンによる飛行が想定される。そのため荒川下流河川事務所ではドローンを活用した河川巡視の検討を進めており、この取り組みにエアロセンスも参加している。

 今回実施した実証実験は長距離にわたる点検目的のため、最長50kmの飛行が可能な同社のVTOL型ドローンの有効性が確認され、運航を担うことになったという。

飛行点検を行ったエアロボウイング

 実証実験は、災害発生時に広域での河川や高速道路などの構造物の被害状況を確認し、迅速な状況把握と復旧計画につなげることも想定し、東京都江戸川区清新町付近の荒川河川敷で実施した。

飛行ルート図

 ドローンの離発着所となる荒川の葛西ジャンクション付近の船着き場から小松川ジャンクション付近まで、首都高速道路の上空を避けて、荒川河川上の往復約14kmの距離を10分で飛行し、上空130mから撮影。飛行中に撮影した動画は、LTE回線を通じてリアルタイムで関係者の事務所に転送され、撮影映像の確認を行った。

 滑走路が不要な垂直離着陸型ドローンの特徴を生かし、災害発生後に迅速な被害状況の広域的な点検手法として有益な検証ができたという。

 2020年10月に発売された垂直離着陸型固定翼ドローンのエアロボウイングは、航続距離が最長50km、最高速度100km/h、最大積載可能重量は1kg。長距離・広範囲の点検、監視等に適しており、山間部の砂防点検、送電線の点検、海域での監視などさまざまな目的で活用されている。

 2022年12月に改正航空法が施行され、有人地帯で目視外飛行が可能となるレベル4が解禁されたことに伴い、同社は今後も同様の実験や検証等に積極的に協力し、機体性能の向上を図ることでドローンの社会実装の可能性を拡大させていくとしている。