2022年10月19日、KDDIテクノロジーは、設備・施設点検を自動化する取り組みとして、AI画像認識技術を活用したサビの自動検出技術、濃さ(濃度)と腐食面積率を分析する技術を開発したことを発表した。

 同社ではKDDIグループの強みを生かし、保有している膨大な画像サンプルを用いてディープラーニングを活用した画像認識AI技術の開発に注力している。

 鉄塔等のサビの点検は高所に人が登って点検を行うため危険を伴う。また点検作業には、目視による撮影写真のサビ品質確認や点検報告書の作成など、単純作業に多くの人手と時間を要する。今回開発した技術を活用することで高所作業を減らし、サビの濃さ・腐食面積率の詳細まで自動で分析できるため日常業務の効率化と分析精度向上が期待される。

1. AIによるサビの自動検出技術
 ディープラーニングを用いた画像認識技術を活用しサビの検出エンジンを開発。サビの輪郭まで含めた領域を検出する。

2. サビの濃さの定量分析技術
 サビの明度と彩度の情報を使った同社オリジナルのアルゴリズムによりサビの濃さを定量化する(特許出願済み)。
 サビの明度と彩度の情報を用いて同社独自の物理モデルにより計算を行い濃さ(濃度)に変換するもので、人が目視で感じる濃さの感覚に近い値を出力する。
 サビの濃さに応じてグラデーション表示で検出結果が表示されるため、サビの色情報に関する詳細な分析が可能。サビの濃さ、明度、彩度のヒストグラムで視覚的に確認できる。

3. サビの腐食面積率の分析技術
 画像全体に対するサビの割合を自動計算し数値で表示する。

 サビの点検は従来作業員が目視で評価していたが、電力鉄塔や通信鉄塔のサビ点検において「サビの劣化度のランク」を濃度と腐食面積率の2軸の観点で4段階に定量化することで、閾値を設けて自動判定をさせることが可能になるという。同社はこの2軸で自動分析できるサービスを開発中で、来年初旬にリリースする予定である。今回開発したAIによるサビの自動検出・分析技術をドローン技術と組み合わせることで、人による高所作業を減らした安全な設備・施設点検の実現を見込む。