千代川上空を飛行するドローン

 2022年10月19日、徳吉薬局とNEXT MOTION、トルビズオン、エアロセンスは、鳥取県と鳥取市の協力のもと、災害発生による道路寸断を想定した医薬品・防災用品のドローン空路輸送を実施した。

 実証では鳥取県沖を震源とする震度6の地震が発生したことを想定して、被害状況の確認および緊急物資配送を目的としたドローン搬送本部を鳥取市役所内に仮設置し、避難所のAxisバードスタジアムへ向けた緊急医療材料とAED(自動体外式除細動器)の搬送訓練を行った。

 この実験を契機に一級河川上空を軸としたドローン航路網の構築に向けて検討を開始。ドローン配送を活用することで脱炭素社会の実現を目指し、将来見込まれるドライバー不足や過疎地域への配送など社会課題の解決も併せて検証していくとしている。

 実証では災害発生による道路寸断を想定した医薬品・防災用品の空路輸送として、鳥取市役所近隣の千代川河川敷からAxisバードスタジアムまで、AED、第2類医薬品、医療材料をドローンで搬送した。飛行距離は約5km、飛行時間は約10分。機体はエアロセンス製 「AS-MC03-T-Box」を使用した。

飛行ルート
ドローン搬送本部(鳥取市役所)
医薬品等を準備する様子(徳吉薬局)
Axisバードスタジアム大型ビジョンでのライブ配信

 NEXT MOTIONは、地域再生・防災ドローン利活用推進協会(RUSEA)鳥取支部・兵庫南支部に所属している。同実証において、低コストで運用できるライブ配信システムとクラウドサービスを組み合わせることで、拠点の様子やドローン映像を同時中継し、ドローン搬送本部等からの状況把握を行うための仕組みを提案した。

 この実証実験は、鳥取県の補助金「鳥取県デジタルグリーン物流推進補助金」を活用して実施したもので、将来的には非対面による医療の提供体制に対応していくのが目的となる。処方箋の電子化などと組み合わせて医薬品をドローンで配送するなど、医療のデジタル化を図る。また、中山間地域等への医薬品の迅速な配送を進めていく足がかりを作ることや、医薬品にとどまらずさまざまな物資を配送することで、次世代の配送業務の構築を目指す。

 実証実験は2回実施する予定で、1回目となる今回は医薬品や救急用品を主眼とした短距離の輸送を検証した。2回目ではVTOL機(垂直離着陸機)を使用した医薬品・食料品の長距離輸送を検証するとしている。