2022年9月9日、群馬大学は、ドローンに吊り下げたスクリーンに地上から映像を投影する原理に基づいた空中ディスプレイ技術を開発したことを発表した。単機のドローンと投影機材一式により実現するもので、温泉などの観光地や花火大会など、屋外の広い空間における各種イベントでの広告・演出、災害時の標識などへの活用が期待される。

図1:技術概要

 近年さまざまなイベントでドローンショーが催され、上空に映像を表示する技術に注目が集まっている。しかし、ドローンショーは数百機のドローンを同時に利用するためコストが高く、大規模なイベントでなければ実施が難しいという課題があった。
 そこで、単体のドローンが吊り下げたスクリーンに地上から映像を投影することで、比較的低コストに空中ディスプレイを実現するため、数十メートル以上離れた場所に浮かぶスクリーンを追跡しながら、そこに映像を投影する技術を開発した。
 この技術の核は、遠方を飛行するドローンに吊り下げられたスクリーンに合わせて光の投影方向を高速に調節する仕組みにあり、これを3つの大口径の回転鏡と高速ビジョンセンサー、レーザープロジェクターに組み合わせている。実験では、ドローンが吊り下げたスクリーンにあわせて映像が投影されるように高速に鏡の角度を制御して、安定した映像投影を実現している(図3)。

図2:投影システム(試作)
図3:飛翔するスクリーンに文字「M」を投影する様子(連続写真)