2022年9月20日、埼玉県秩父市やゼンリンなど15者が参画する秩父市生活交通・物流融合推進協議会は、同市の大滝地域において「大滝共同配送サービス」を実施することを発表した。

 地域と物流事業者双方に利益をもたらす物流モデルの構築と地域・物流課題の解決に向け、2022年9月27日~9月29日の3日間、秩父市と協議会構成員であるヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社ならびに協力会社である西濃運輸、福山通運の2社、計5社の物流事業者が連携し、同サービスのプレサービスを実施する。また、ゼンリンが位置情報ビッグデータによる配送効率性の分析を行うとしている。

 プレサービスでは、佐川急便、西濃運輸および福山通運が大滝地域宛ての荷物を「ヤマト運輸 影森営業所」に持ち込み、各社の荷物を積み込んだヤマト運輸のトラックは「荒川郵便局」に立ち寄り日本郵便の荷物も積み込み、受取人の自宅まで配達する。

 秩父市は山間地域が多く、住民の高齢化により災害発生時や日常生活における生活交通・物流等の生活インフラの維持が困難な点が課題となっている。同協議会ではこれらの課題解決に向け、物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」構築への取り組みを、2020年11月から開始している。
 今回は物流業界における課題である「運送・配送業務の効率化・平準化」を同サービスを通して解決し、秩父市の宅配需要を満たすことで地域と物流事業者双方に利益をもたらす、新たな「秩父モデル」構築を推進するとしている。

 2022年度はプレサービスを通じて得られた成果を踏まえ、共同配送におけるオペレーションやコスト面での課題を抽出・整理し、2023年度以降に地元の物流事業者をサービスの体系に加え、ラストワンマイルの配送を地元の物流事業者が担うことで、物流機能と高齢者を支援する地域の見守り(共助)機能を兼ね備えた新しい物流モデルの構築とその実装を目指すとしている。
 さらに、ゼンリンが開発する「位置情報ビッグデータを管理するデータ基盤」と、「街の活動状況を可視化するダッシュボードシステム」を用いて、共同配送の運行管理をシステム化し、全国展開を目指す方針だ。