2022年6月16日、セキュアドローン協議会は、ドローンの安心安全な利活用を確立するための指標となる「ドローンセキュリティガイド 第3版」を公開した。

 携帯電話等の上空利用と、人口密集地区での目視外飛行(レベル4)の本格化により、ドローンはインターネットオンライン状態となる。そのため、悪意ある第三者による攻撃などサイバーセキュリティ対策を含む総合的なドローンのセキュリティ対策が重要となる。企業や組織は、関連する法令の遵守、事故や事件発生時のブランドイメージへの影響、機密データの漏えいによる悪用などのリスクへの対応が必要だ。

 産業用ドローンは、点検や測量、物流といった分野で実証実験が行われ、政府や民間が利活用を推進してきている。人口密集地区での目視外飛行(レベル4)の実現や、無人航空機における携帯電話等の端末の上空利用緩和などが整備され、本格的な社会実装が間近となっている。

 ドローンのセキュリティ対策については、経済産業省が「無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドライン」を公開し、無人航空機の汎用的なシステムモデルについて定義している。また政府では、IoTや自動運転自動車システムなどのセキュリティを検討しており、これらと同様にドローンソリューションのセキュリティも検討する必要がある。将来的には飛行するドローンだけでなく、陸上、水上、水中などのドローンの自律機体制御や機体管理といった移動体特有のセキュリティリスクに対しても定義付けし、セキュリティ対策を講じていくことが求められる。

 これまでドローンはインターネットオフラインでの利用が前提で、通信妨害などのセキュリティ対策が必要であった。携帯電話等の上空利用と人口密集地区での目視外飛行(レベル4)の本格化により、ドローンはインターネットオンライン状態となる。サイバーセキュリティ対策を含む総合的なセキュリティ対策が実装されていない現状では、さまざまな混乱を引き起こす可能性がある。
 従来はドローンの利活用といった視点が大きく、運用リスクに対するセキュリティ対策は考慮されていなかったが、社会実装が進むにつれ、悪意ある第三者による攻撃などへのセキュリティ対策を行い、企業や組織は関連する法令の遵守、事故や事件発生時のブランドイメージへの影響、機密データの漏えいによる悪用などのリスクへの対応が必要となる。

セキュリティガイドの概要

 本セキュリティガイドの策定を通して、信頼できるドローンの安心安全な操作環境とデータ送信環境を確立していくための指標を提言する。

 産業用ドローンが普及していくためには、情報処理においてこれまで配慮されてきた情報セキュリティ対策や、最新のIoT関連のセキュリティ技術との連携が重要になる。本ガイドは、ドローンにおけるセキュリティリスク、機体制御、機体管理、ドローン機器、通信、アプリケーションやクラウドなどドローンソリューション全体におけるセキュリティ、ドローン機体メーカー、ドローンサービス提供事業者、ドローン活用ユーザーそれぞれのとるべきセキュリティ対策要件など、産業利用における指標を記述している。

ドローンのセキュリティ対策要件
ドローンのセキュリティリスクの特性
ドローンを安全に飛行させるための機体や操縦者、管理者などの認証
ドローンで取り扱うデータに関するセキュリティ対策
ドローンを業務で取り扱う上での各種の注意点

【第3版の主な改定内容】
クラウドを使用したドローンの認証例
リモートIDについて
ドローン関連サービス、プロトタイプ開発事例

▼ドローンセキュリティガイド(セキュアドローン協議会)
https://www.secure-drone.org/drone-security-guide/

 なお同協議会は、2022年6月21日〜23日に幕張メッセで開催される「Japan Drone 2022」に出展し、ドローンセキュリティガイドの解説や協議会の取り組みなどを紹介する。また、展示会場内の出展者ワークショップならびにオンラインセミナーで「ドローン社会実装に向けてのセキュリティ対策」をテーマに講演を行う。