2022年6月13日、三菱重工業(以下、三菱重工)と三菱重工グループの三菱重工機械システムは、フランスのベンチャー企業であるスタンレーロボティクス社(Stanley Robotics、以下SR社)の車両搬送用AGV(Automated Guided Vehicle)ロボット「Stan」を用いた、自動バレーパーキングの実証試験を同日より開始する。国内の商業施設では初の試みだという。

 今回の実証試験では、千葉県印旛郡のアウトレットモール「酒々井プレミアム・アウトレット」の関係者駐車場を利用して、実環境に近い形でAGVロボットによる車両の自動搬送実証を実施し、搬送性能の検証、利用満足度の評価を行う。

スタンレーロボティクス社のAGVロボット「Stan」

 自動バレーパーキング、完成車自動搬送サービスの国内展開を目指す三菱重工グループは、AGVロボットによる自動バレーパーキングを展開しているSR社と協業し、2021年10月から三菱重工施設内での実証試験を進めてきた。今回、商業施設駐車場内での実証試験を通じて得られたデータをもとに、同サービスの国内事業化へ向けた取り組みを進めるとしている。

AGVロボットによる自動バレーパーキングのコンセプト

1. 入庫 :利用者は、施設近接に設けられた「バース」に駐車する。車両を乗り捨てる感覚で駐めることができ、雨の中や重い荷物を持ったまま遠い駐車場まで歩く、駐車スペースを探すといった煩わしさが解消される。

2. 自動搬送 :AGVロボットがロボット駐車エリアに自動搬送。限られた駐車エリアを効率的に利用し、収容効率を上げる。区画された駐車エリア内に保管することで、駐車場内の事故や車上荒らしを防止する。

3. 出庫予約 :帰る際はスマートフォンアプリで出庫予約。予約時間に合わせて、車両をバースまで自動搬送する。利用者は搬送状況をアプリで確認でき、出庫までの時間を買い物や食事などに有効活用できる。

4. 出庫 :バースに車両を準備。利用者は広いバース内で荷物を積み込み、ストレスのない快適な出庫が可能。

自動バレーパーキングのコンセプト図
実証エリアイメージ図

スタンレーロボティクス社のAGVロボット「Stan」

 車両の長さに合わせて自動調整するプラットフォームが車両下部に潜り込み、4輪を持ち上げ搬送するAGVロボット。屋内外・雨天時の搬送にも対応する。2018年にフランス・リヨン空港の駐車場で初めて商業運転を開始し、その後、イギリス・ガトウィック空港駐車場でも導入されている。

Stan reinvents parking at Lyon-Saint Exupéry airport(Stanley Robotics YouTubeチャンネル)