2020年11月24日、タレスグループ(本社:フランス・パリ)の日本法人であるタレスジャパンは、三菱重工業(以下、三菱重工)が海上自衛隊に提供する自律型水中航走式機雷探知機「OZZ-5」向けに高周波合成開口ソナー(HFSAS)「SAMDIS」を提供する契約を締結したことを発表した。

水中無人機:自律型水中航走式機雷探知機「OZZ-5」三菱重工業

 国際情勢が変化を続ける中、各国は領海における警戒監視活動を強化すると同時に、人員に対する機雷の危険を最小限に抑制することを最重要課題としている。これまで50年にわたり、世界各国の海上防衛に対して知見や技術を提供しているタレスは、機雷掃討艇といった従来型のソリューションから、無人航空機(UAV)を基盤としたソリューションへの移行を可能にする技術を開発している。

 今回の協働により、タレスの高周波合成開口ソナー(HFSAS)「SAMDIS」が、三菱重工の自律型水中航走式機雷探知機「OZZ-5」に搭載される。日本の低周波合成開口ソナー(LFSAS)技術とタレスのHFSASが組み合わされることで、昨今需要が高まっている海上機雷対抗策(MMCM)に対応し、水中の状況に左右されることなく不審な埋没機雷を探知することが可能となる。HFSASは、自動探知・類別(AuDC)機能を提供し、収集したデータ処理におけるオペレーターの負荷を軽減する。

 本契約は、海上自衛隊への支援に向けた長期プログラムの出発点であり、両社による海外市場展開の可能性もあるという。タレスが三菱重工のOZZ-5にSAMDISを提供することで、両社の継続的な連携が強化される。三菱重工はタレスと協力し、海上自衛隊に対して技術提供することで、日本の同盟国の新たな市場への参入を目指すとしている。タレスの対潜水艦戦および海上保安・保全システムは現在、50以上の海上防衛で導入されている。

 タレスジャパン代表取締役社長のシリル・デュポン氏は「三菱重工の自律型水中航走式機雷探知機OZZ-5にタレスの高周波ソナーを搭載することは、数年前のOZZ-X実証機開発当時から続いている両社の協力関係が強固であることを証明するものです。また、現在の日本とフランスの長期的な二国間協力の継続を具現化したものとも言えます。タレスは、三菱重工との強固な協業を通じて、日本国内外の防衛組織に対して実績のある専門技術を提供することに今後も努めてまいります」と述べている。

 また、タレス水中事業部門バイスプレジデントのアレクシス・モレル氏は「非常に競争の激しい市場で無二の存在感を示すOZZ-5にSAMDISが搭載されることで、卓越した操作性能に寄与できることを大変光栄に思います。今回の契約は、タレスのUWSがあらゆるタイプの航走体や海上自衛隊の要望に適合できることを示しており、三菱重工とのパートナーシップの今後の成果に向けた道を開くことになるでしょう」と語っている。