2022年5月9日、センシンロボティクスは、大分県からの委託を受けたザイナス、大分大学減災・復興デザイン教育研究センターと連携して、災害・事故発生時の初動対応に完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN Drone Hub」を活用する実証実験を行ったことを発表した。

 同実証実験は、災害時のドローン活用の実用化を目指す大分県が、ドローンによる情報収集を行う仕組みを構築するため、研究開発が進むドローン技術の試行として実施したもの。
 自然災害の激甚化への対応においてドローン活用の期待が高まる一方、発災直後は関係機関の人員が救助などに当たるため、操縦者の確保が難しい現状がある。そのため、⺠間企業や⾃然災害対応を主としない⾃治体の関係者でも、情報収集のためにドローンフライトを⾏える環境を作り、⼀定の品質で撮影ができる仕組みを構築する必要があるとしている。

「SENSYN Drone Hub」からドローンが離陸する様子

 SENSYN Drone Hubは、ドローン機体、基地(ドローンポート)、制御ソフトウェア・業務アプリケーションを一体化し、業務の自動化を実現するシステムである。自動離着陸、自動充電、自動データ転送が特徴で、事前に経路設定を行うことで人の手を介さずにドローンによるデータ取得が可能になる。作業員が都度現地に赴く必要がなく、発災後も効率的で安全に業務を遂行できる。

 実証実験では、380m離れた採石場を被災現場と想定したルート設定を行い、必要なデータを取得できるかの確認を行った。
 飛行中は映像伝送システムで中継した拠点間接続時の映像品質の検証を行い、現場の状況をリアルタイムで確認。また、取得したデータを災害情報活用プラットフォーム「EDiSON」と連携することで、撮影データや位置情報を関係機関と共有することに成功した。

 SENSYN Drone HubはLTEネットワークを経由して、ドローンが取得したデータをリアルタイムにクラウドサーバーにアップロードし、解析まで行うことができる。クラウドへの自動アップロードから解析レポート作成まで一貫して実施できるため、迅速な情報共有が可能となる。

映像伝送でのリアルタイム状況確認
災害情報活用プラットフォーム「EDiSON」との連携

 防災の仕組みにおいて最新テクノロジーを活用するには、複数の用途で平時から日常的に活用できるシステムを構築する必要がある。SENSYN Drone Hubを活用することで、平時はインフラの点検や見守り・巡視などの業務を実施し、災害発生時は被災状況の把握を行うといった、平時・非常時両方を踏まえたシステムの構築を実現するとしている。
 また、巨大地震のような大規模災害の発災直後はしばらく身動きが取れない状況が想定されるが、その間もドローンが必要なデータを収集することが可能になる。