2021年7月7日、メトロウェザーとACSLは、同年6月にメトロウェザーの風況観測データをACSLのドローン運航制御プログラムへ組み込むことに成功したと発表した。

 ドローンを安全かつ安定的に運航するためには、ルート上の「風」情報の把握が重要となる。メトロウェザーは、高精細な風況データのリアルタイム観測を実現し、3次元風況データを配信するためのAPIを開発している。今回の連携で、メトロウェザーが配信する上空の風況データを、ACSLが提供するドローン管制用GCS(Ground Control Station)にリアルタイムでオーバーレイすることができた。この技術が製品化されることで、ドローンの運航管理者や操縦者が、実際の風況情報に基づき運航を行うことが可能となる。

風況表示のイメージ

 ドローンが飛行する地上付近や上空の風は乱れが多く、大小様々な乱流が形成されている。安全で安定的にドローンを運航するには、ルート上の正確な風のデータがほぼリアルタイムで活用できる必要がある。しかし、これまでの風の情報は地表近辺のデータに限られ、上空の風のデータは測定することができなかった。

 これらの課題に対し、メトロウェザーが開発した小型高性能ドップラー・ライダーは、高精細風況データのリアルタイム観測が可能である。ドップラー・ライダーとは、大気中にレーザ光を発射し、大気中のエアロゾル(塵、微粒子)からの反射光を受信することによって風速・風向を観測することができる大気計測装置のことだ。
 メトロウェザーは、リモート・センシング技術と信号処理技術により、地上付近および上空の空気の流れをリアルタイムに可視化するドップラー・ライダーを開発し、2021年3月には機体を小型化。さらに、ドップラー・ライダーで観測した風況データを配信するためのAPIを開発し、3次元風況データのリアルタイム配信の実用化に成功している。

 ACSLの国産ドローンに対応した管制用GCS「PF-Station」は、同社が独自に開発した地上局用ソフトで、飛行ルート作成、飛行ルートの3D地図での確認、飛行中のモニタリング、飛行後の解析などが可能である。

 今回両社が連携することで、上空の風況データをドローン運航システムにリアルタイムでオーバーレイすることができた。これにより、ドローンの運航管理者や操縦者が、実際の風況情報に基づき運航を行うことが可能となる。