2022年2月9日、SUNDRED、ACSL、VFR、センシンロボティクスなどが発足した「人生100年時代に人々を幸せにするドローン作り『Take Off Anywhere』プロジェクト」(以下、ToAプロジェクト)は、VFRが主体となり国産ドローンポートを開発したことを発表した。

 ドローンポートはマーカ着陸を採用しており、精密着陸を実現することで安全に自動離発着が行える。開閉機構により待機時のドローンを格納し、風雨から保護・温度管理することで安定した運航とドローンの長期運用が可能となる。自動充電機構により人の手を介することなく繰り返し運行でき、ポートに着陸したドローンの位置決め機構を開発したことで、確実に自動充電を行う。
 ドローンポートは開発・製造とも国内で行われており、カスタマイズにも対応する。

【ドローンポート詳細】
サイズ
開いた状態 W4,125mm x D1,650mm x H1,180mm
閉じた状態 W1,900mm x D1,650mm x H1,180mm
対応機種 :ACSL-PF2
重量 :400kg

 同プロジェクトは、2022年の有人地帯上空での目視外飛行(レベル4)に関する規制が整う見通しを受けて、ドローン技術の確実な社会実装を実現を目指し、2021年2月22日に発足。さまざまな企業・団体とパートナーシップを構築しながら、ドローン技術の発信やパブリックの知識醸成、必要な技術の共同開発に取り組んでいる。

 産業用途でドローンを飛ばす際、現在の法制度では専門的な知識・技術を持つ複数人で現地へ向かい、業務を分担して遂行しなければならず、金銭的・時間的なコストが大きいこと等が課題となっている。ToAプロジェクトではオペレーションをより効率的に運用できるシステム構築を推進しており、今回発表した国産ドローンポートもその成果の一つである。その他、同プロジェクトに協賛した各社協力のもと、オペレーションの効率化に向けた開発を進行中だという。

 2030年までに達成すべき17の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」に「気候変動に具体的な対策を」がエントリーされており、日本においても、「2050年カーボンニュートラル」の宣言に基づき、CO2削減等の取り組みが求められている。ToAプロジェクトでは、ドローンポートを活用したカーボンニュートラルの取り組みとして、ドローンポートがドローンの充電を自動で行いつつ、エネルギーを自己完結で賄うことを目指し、研究開発を行っている。構想が実現すれば、過疎地や離島への荷物の配送、施設の点検や巡回など、これまで車での移動が必要だった作業もCO2を排出することなく行う事が可能になり、日本でのCO2排出削減に大きく貢献できると見込んでいるという。

 その他、同プロジェクトでは、国産ドローンを使用した森林管理の取り組みも進めるとしている。日本国内の森林を対象にドローンを活用してデータを収集し、開発予定の森林管理システムで樹木のデータの可視化やCO2の排出量をAIにより解析、最適な森林管理を目指す。