2022年1月26日、アインホールディングス(以下、アインHD)、ANAホールディングス(以下、ANA HD)、NTT東日本-北海道、ORSOは、旭川市が内閣府の令和3年度 未来技術社会実装協議会に選定され、組成された地域実装協議会に参画することを発表した。

 同事業は、地域の医療サービスを継続するためにパーソナルヘルスレコード(以下、PHR)(※)を利活用した医療インフラの構築と、ドローンやAIを組み込んだ未来技術の融合により地域課題の解決へとつなげる取り組み。期間は2021度から概ね3年間となる。

※ 一般的には、生涯にわたる個人の保健医療情報(健診情報、予防接種歴、薬剤情報、検査結果等診療関連情報および個人が自ら日々測定するバイタル等)のこと。電子記録として本人等が正確に把握し、自身の健康増進等に活用することが期待される。(総務省、厚生労働省、経済産業省「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」)

未来技術社会実装事業の全体像

 地域実装協議会の下、医療分科会とドローン分科会を設置。医療分科会では、旭川医科大学と薬局を中心に、血圧計やウエアラブルデバイス等を活用して得たPHRが、市民の生活や医療に有益なデータとして利活用できるかの実証実験を行う。収集したPHRがコロナ禍での非接触医療に活用できるかもあわせて検証するとしている。
 ドローン分科会では2022年度に実現される予定の、有人地帯での補助者配置なし目視外飛行(レベル4)によるドローン運航を念頭に入れた実証実験を行う。医薬品配送のユースケースを積み重ね、旭川市近郊地域におけるドローン飛行についても中核都市である旭川市を起点に実証実験を進める予定だ。

実施内容

<医療分科会>

 旭川の市民・患者に配布した血圧計、ウエアラブルデバイスで測定したPHRは、医療データ連携アプリ(すこやかダルマ)を通じてプラットフォーム(Logmoni)に連携される。市民・患者から許可を得た医療従事者は、クラウド上のPHRを診療、解析および服薬指導等に利活用することにより、安全・安心な医療サービスの提供へつなげることが可能か検証を行う。これらのデータはORSOが管理し、NTT東日本-北海道はデータ連携の通信環境を整備すると共に、市民・患者のITリテラシーを補完し、事業を円滑に進める。

医療分科会でのPHR連携イメージ

<ドローン分科会>

 2021年6月に内閣官房・厚生労働省・国土交通省より「ドローンによる医薬品配送ガイドライン」が策定された。アインHDとANA HDは、2021年10月にこのガイドラインに基づく実証実験を行い、ガイドラインの解釈と課題抽出を行った。同分科会では、旭川市のような人口密集地域における同ガイドラインに準拠したドローンによる非接触医薬品配送と、積雪寒冷地における無人・自動物流の検討を行う。

ドローン配送メージ