CuboRexのテスト機開発用電動クローラユニット「CuGo」を用いて、大学生やドローン開発専門会社が、ArduPilotを使用した自律走行ロボットを制作する事例が増加している。

 CuGoは、テスト機をスピーディに制作できるテスト用電動クローラユニットとして開発された。大学等の研究室や研究機関をはじめとした多くのロボット開発機関に採用され、累計販売台数は500台を超えているという。
 従来パーツ化されていなかったキャタピラ部分を、組み立て可能なキット化しており、不整地産業向けの足周りパーツとして農業や土木の運搬・点検ロボット等、凸凹が多く人が作業しづらい不整地での作業自動化を目指した研究開発に利用されている。
 組立済みの電動クローラを組み付けるだけでロボットを製作可能で、自動運搬ロボットなどさまざまなロボットに応用できる。

​■事例1:岩手大学の学生が自律走行ロボットを開発、農業や高齢化による作業軽減化を目指す

 岩手大学と山形大学 農学部 生産機械研究室に所属する森氏は、2021年3月にCuGoを用いた組み立てロボットを開発。ArduPilot向けアプリケーション「Mission Planner」で自律走行経路を作成することで、決められたルートを動かす実験を行った。約5kgの砂袋を乗せた状態で走行し、雪の積もった農地でも実験を行い、雪の深さが10cm以下であれば快適に動き、雪の中でもスリップしないことを実証した。

​■事例2:香川県のドローン開発会社が、自律走行可能な農業用ロボットを開発

 地上を走るクローラ式ロボットを開発するには、エンジニアにクローラの専門知識や開発経験がない場合、外部の開発会社への委託が必要となる。また、これまで自律走行のドローンを専門に扱って来た企業は、ドローンの主流ソフトウェアであるArduPilotではなく、開発が複雑なソフトウェア「ROS」を用いるのが主流であった。
 香川県のドローン開発専門会社の佐竹技研では、ArduPilotのミッションプランナーを用いることで、ドローンの技術をそのまま地上を走る自律走行ロボットへ応用。田んぼや畑のエリアを指定することで自動的に走行ルートを生成し、その通りにロボットがほぼ微調整なしに、10回以上継続してルート通り走行することに成功した。

 CuboRexは今後も、大学や高等専門学校等の教育機関や研究室での普及を目指すとしている。CuGoは、人力による運搬や作業負担を減らす移動ロボットを容易に作れるため、現在多く活用されているスマート農業以外にも、土木などスマートコンストラクション分野、人が入れない災害現場など、幅広く活用可能だという。
 ROSを中心とした自律走行の開発環境を手軽に構築できる「CuGoROS開発キット(仮称)」をリリース予定で、今後もCuGoのバーションアップを進めるとしている。