2021年11月30日、日本航空(以下、JAL)とメディパルホールディングス(以下、メディパル)は、ドローンを活用した持続可能な物流網の構築に向けて、共同検討を開始したことを発表した。

 取り組み内容は、医薬品のドローン輸送および関連輸送に関する市場調査・事業性検証、各種実証実験における連携、ドローンに対する社会受容性の向上施策の検討、そしてドローン活用による災害時やSDGs達成に向けた医薬品供給体制の構築の検討である。

 両社は2021年10月27日と28日に、ドローンによる医薬品の拠点間輸送をユースケースとした実証実験を兵庫県洲本市で行い成功している。同実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催し、JALが参画するKDDIのスマートドローンプラットフォームを活用した「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)」の一環として行われた。

 同実証でJALはドローンの運航および安全管理を行い、メディパルの連結対象の完全子会社であるメディセオのロジスティクス本部が薬剤模擬品を提供して、メディセオ淡路FLC(営業兼物流拠点)が自治体や医療機関へのリレーション構築を担当した。

薬剤模擬品を搭載する様子

 発着点をメディセオ淡路FLC駐車場と県立淡路医療センター屋上庭園に定め、薬剤(アンプル)疑似品を輸送(最大搭載重量5kg)。運行ルートは洲本川の上空とし、洲本橋を含む7つの橋梁上を飛行した。距離は往復で約5km。実証ではルートを2.5往復する通常飛行に加え、イレギュラーを想定した複数のシミュレーションを実施した。

飛行ルート

機体:プロドローン「PD6B-TypeC」
W1874×D2060×H474mm、最大ペイロードは30kg。

メディセオ淡路FLCから離陸するドローン

▼ドローンからの飛行映像 (JAL)
https://press.jal.co.jp/ja/items/uploads/45da6ecf892024d07d25270f04170c1380ce31e3.mp4

 日本では現在、少子高齢化や過疎化による医療・交通アクセス困難者の増加や、深刻化する自然災害、新たな感染症の流行などの社会的なリスクに対して、医薬品などを平時・有事を問わず安定的に流通できる体制の構築が求められている。
 また、地球温暖化による気候変動が世界的な課題となる中、企業が行う事業活動において両社はSDGsの達成が重要だと捉えている。

 同共同検討により両社は、地域のニーズに寄り添い、環境性能が高い電動ドローンを活用した、災害などの有事にも対応可能かつ持続可能な物流網を構築するとしている。