2021年11月24日、スイスのユーブロックス社は、日本市場に的を絞った高精度GNSS補正サービス対応のu-blox NEO-D9Cレシーバーを発表した。

 このモジュールは、u-blox ZED-F9P高精度全地球測位システム(GNSS)レシーバーとシームレスに統合し、精密農業や重機、ドローン、自動車アプリケーションにセンチメートル級の位置精度を提供する。ZED-F9Pは、L1帯とL2帯という異なる周波数帯の信号に対応し、みちびき(日本)、GPS(米国)、GLONASS(ロシア)、BeiDou(中国)、ガリレオ(欧州)の5つの衛星測位システムを受信できるGNSS受信モジュールである。2020年6月にファームウェアをバージョンアップし、L1S(サブメータ級測位補強サービス、災害・危機管理通報サービス)信号に対応している。

 GNSS補強サービスは、GNSS誤差の最も一般的な原因を補正することにより、測位精度を数メートルからわずか数センチメートルレベルの誤差に向上させる。これまでは技術的・コスト的に参入障壁が高く、マスマーケット向けアプリケーションにとって高精度GNSSは手の届かないものであった。

 これに対しNEO-D9Cは、センチメートル級の測位精度を容易な実装により利用できるようにした。同製品は、日本版GNSSであるQZSS(みちびき、準天頂衛星システム)が日本に向けてL6帯でブロードキャストしている利用無料のセンチメートル級補強サービス(以下CLAS)を活用するものである。

 この補正サービス・レシーバーでは、位置出力の可用性を最大化するために、2基のQZSS衛星のCLASデータを同時にデコードする。可視状態にあるすべてのQZSS衛星を追跡することで、継続的なCLASサービスを提供するために最適な衛星の組み合わせを自動的に選択する。

 u-blox NEOフォーム・ファクターで設計されたNEO-D9Cは、高度なセキュリティ機能を実装し、エンドユーザー製品で信頼性の高いGNSS性能を実現する。u-blox ZED-F9P RTK GNSSレシーバーとのペアリングにより、高精度測位ソリューションの開発を簡素化するとしている。RTK(Real Time Kinematic:相対測位)は、固定局と移動局の2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術で、受信機の間でのやりとりでズレを補正し、より精度の高い位置情報を取得することができる。

 今後、同社はu-blox F9 GNSSテクノロジー・プラットフォーム全体でCLASによるダイレクト補正のサポートを拡大し続ける方針である。なおNEO-D9Cモジュールの初回サンプルは、プロフェッショナル・グレードと自動車グレードで提供している。

▼ ユーブロックス「NEO-D9C」(みちびきウェブサイト)
https://qzss.go.jp/usage/products/ublox_211124.html