2019年9月12日、スイスのu-blox AG(日本法人:ユーブロックスジャパン株式会社、以下 ユーブロックス)は、数秒以内にセンチメートル級の精度を発揮する高精度GNSS(全地球測位システム)モジュール「ZED-F9P」を、民生用電動VTOL(垂直離着陸)機の開発と生産を専門とするドイツのQuantum-Systems社の、最新の電動固定翼無人航空機(UAV)「Tron F90+」に提供したことを発表した。最大飛行速度160km/時、航続距離100km、翼幅3.5mの最新型ドローン・ユニットは、緊急輸血用血液の遠隔地への輸送といったミッションクリティカルな物流活動、鉱業や農業関連に導入されている。

 最新型のQuantum-Systems eVTOL UAVプラットフォーム「Tron F90+」(https://www.quantum-systems.com/project/tron-f9/)は、貨物、測量・地図、悪条件下での偵察飛行を目的として設計され、Trinity F9、ScorpionおよびVectorの各UAVなどで構成されている。これらにはすべてu-blox F9高精度GNSS技術を搭載している。

 「Tron F90+」UAVの開発に際し、Quantum-Systems社のエンジニアリング・チームが直面した大きな課題は、垂直離着陸(VTOL)の操作が常に円滑に進むよう、高精度な位置データを取得し、輸送する貴重なペイロードを保護することであった。

 「ZED-F9P」(https://www.u-blox.com/ja/product/zed-f9p-module)で利用可能なマルチバンド・リアルタイム・キネマティック(RTK)およびRawコードとキャリア位相データにより、必要な位置補正が保証され、パイロットは難易度の高い操縦が可能となる。「Tron F90+」の各UAVは「ZED-F9P」モジュールを搭載している。RTKまたは後処理補正により、絶対位置の精度を3~5cmにすることも可能である。これは、ユーブロックスのモジュール精度が標準的なメートル級のGNSSソリューションの約100倍であり、さらに価格設定を抑えることができる。

 Quantum Systems社、最高技術責任者のMichael Kriegel博士は次のように説明している。「このドローン・プロジェクトには、PPK(後処理キネマティック)機能を搭載し、将来的にはRTK機能を付加し、高精度で低コストかつ信頼性の極めて高いソリューションが必須でした。ZED-F9Pモジュールの軽量でありながら堅牢な構造、組み込みの容易性、優れたコンポーネント品質のすべてが、ユーブロックスを選択する決定要因でした。」

 ユーブロックスの測位製品センター、プロダクト・ライン・マネージメント(高精度)部門ディレクターのPeter Fairhurstは、次のように語っている。「今年初めのリリース以来、当社のu-blox F9プラットフォームは、さまざまな産業セクターの幅広い分野で急速に採用が進んでおり、信じられないほどの市場牽引力を得ています。このたびのQuantum-Systems社とのプロジェクトは、間違いが許されないアプリケーションに業界最高レベルの測位精度を提供すると同時に、関連するBOM(部品)コストを抑制する、当社の優れた実例の1つです。」