鹿島建設、竹中工務店、竹中土木は、ソフトバンク(以下SB)、ソフトバンクロボティクス(以下SBR)の協力を得て、Boston Dynamics(アメリカ、以下BD)製の四足歩行ロボット「Spot」の建築・土木分野での実用化に向けた共同研究を開始することに合意したと発表した。Spotは、BDが開発した自律歩行ロボットで、階段や傾斜地にも強く、障害物を自ら回避する機能を有するなど、日々状況が変化する建設現場での活用に適している。
 今後、現場の省人化に寄与する多様な目的の機能を搭載することで、Spotが建設業における協調領域の中で広く誰でも使える技術として、多くの建設現場で活用されることを目指す。

 2018年6月以降、3社は各社個別に、BD、SB、SBRと実証実験を実施してきた(写真)。しかし、建設現場という複雑かつ厳しい条件下でSpotを利用するためには、より多様な環境で歩行性能検証を行い改善していく必要がある。さらに、Spotの効果的な利用方法の探索と機能開発にも多くの試行錯誤が必要なことから、これらに3社共同で取り組むことが、Spotをいち早く実用化するための最善策だと判断した。

具体的な検証事項

(1)建設現場におけるSpotの確実な歩行の実現

 Spotを確実に歩行させるためには、日々状況が変化する建設現場において、Spotの作動に必要な通信環境の構築が重要となる。建設現場それぞれの条件において、いかに効率的に必要な環境を構築するかを検証していく。

(2)Spotの利用方法の探索・検証

 建設現場を管理する社員の業務負担の軽減を目的として、Spotの歩行・巡回機能を活かした業務支援機能を探索・検証していく。具体的には、遠方に居ながら現地の確認や作業員とのコミュニケーションを図る機能、自動巡回により現場の進捗の記録や点検を行う機能、各所を測量・記録して施工した建造物が図面通りにできているか確認する機能などを検証していく。

 鹿島建設・竹中工務店・竹中土木の3社は、Spotに関する各種ノウハウの探究・蓄積と、建設現場で役立つ機能開発によって、Spotの建設現場での実用化を加速していく。今後Spotが活躍することで、人とロボットが違和感なく共存する新時代の建設現場を実現するとともに、社員の業務負担軽減に伴う安全性・生産性の向上、さらには魅力ある建設業の創出を目指す、としている。