2021年10月14日、量子技術により社会を変革することを目指すQuantum Transformation Project(以下 QX PJ)は、無人機管制システムを提供するOneSky社と、量子アニーリング(量子コンピューティングの中でも最適化に特化した方式)について研究実績を有する東北大学と共に、エアモビリティ時代におけるリアルタイム三次元交通制御システムの開発に向け、量子コンピューティングの活用実証を実施したことを発表した。

 エアモビリティ社会が実現した際には、多くの無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle、以下 UAV)が飛び交うことが想定されており、UAVも含めたリアルタイム三次元交通制御を行うシステムが必要となる。気象や電波状況、他のエアモビリティの状況から最適な運航を決定しなければならないが、膨大な組み合わせの中からリアルタイムに答えを求めるのは、従来コンピュータでは困難となる可能性がある。そのためQX PJでは多数のエアモビリティをリアルタイムに制御する量子技術実証を開始し、今回、その結果を映像で公開した。

Air mobility traffic control by using Quantum Computer(QX PJ 公式YouTubeチャンネル)

 量子アニーリング技術により、同時に飛行できる空飛ぶクルマの数を70%程度向上。特定の問題において従来コンピュータより10倍程度の高速化を実証した。将来の量子コンピュータでは、性能向上による飛行台数の増加や、優先されるべき緊急飛行への最短・最適ルートの提供などにも対応するようになる、という考えを示している。

 Quantum Transformation Project(QX PJ)は、2021年3月、住友商事において発足。量子コンピュータの産業応用分野において、モビリティや工場分野などで数多くの実証を行ってきた寺部雅能氏が2020年より提唱している量子技術による社会変革「Quantum Transformation」を推進するために立ち上げたプロジェクトである。