ロボットファクトリーは、ドローンによる外壁赤外線診断、塗膜および外壁引張り強度試験、コンクリート中性化試験をセットにした「建物診断パック」の提供を、2021年9月27日より開始する。3つのサービスをワンセットにすることで、必要十分な調査・診断を手頃な料金で提供する。

ドローンによる外壁赤外線診断の様子

 従来の外壁診断・点検では、一般的に足場を組んで打診調査を行うが、外壁全体に足場を組む必要があるため工期と費用がかかることや、調査員の感覚に頼る点が課題であった。同サービスではドローンを取り入れることにより短納期、低コストで建物診断を行う。地上から撮影できない高層階や屋上屋根も撮影可能。高解像度の可視画像、赤外線画像を記録に残せるため、経年変化を見比べることができる。ドローン飛行・撮影は、定期的に実施する操作テストをクリアしたスタッフが行う。

ドローンを使用した外壁赤外線調査

<ドローンによる外壁赤外線診断>

 建築基準法第12条に基づく外壁定期点検、大規模修繕にかかる外壁点検などをドローンによる赤外線診断で行い、短期間・低コストで外壁劣化状況を確認する。

<塗膜および外壁引張り強度試験>

 既存塗膜の付着強度を評価し、熱や炭酸ガス透過などによる劣化進行の度合を調査する。この調査により塗膜劣化による躯体への影響を検証する。

 塗膜は、塗料を乾燥させて成膜させたもので、光や熱や水から外壁、屋根の内部のコンクリート、壁材を保護する役割を持つ。「塗膜および外壁引張り強度試験」では、塗膜の劣化状況を診断することで、建物の適切な保全、改修方法を判断し、耐久性を高めることができる。「引張り強度試験」では、4cm四方の試験箇所に鋼製のアタッチメントを速乾性接着剤で貼り付け、試験機でゆっくりとアタッチメントを引き、破断した際の強度を計測する。

塗膜および外壁引張り強度試験

<コンクリート中性化試験>

 既設コンクリートへの雨水や空気・炭酸ガスの侵入などによる中性化の進行度合を調査し、コンクリート躯体の中性化進行状況を確認する。

 コンクリートは雨水や二酸化炭素・炭酸ガスなどの影響を受け、本来のアルカリ性から中性化が内部に徐々に進行していく。これが鉄筋の腐食につながり、その膨張などによって、コンクリートのひび割れや剥落が発生する。塗膜劣化診断で塗膜の強度が弱くなっている場合は、あわせてコンクリート中性化診断をしておくことで適切な修繕法を判断し、建物の適切な保全、耐久性を高めることができる。

 ドリルなどで測定するコンクリート部分からコアを抜き取り、中性化の進行度を計測する。抜き取ったコアにフェノールフタレイン液を吹きかけ、色の変化を見て中性化を調べる。

コンクリート中性化試験