2021年9月6日、FIGと同社グループ4社(ciRobotics、モバイルクリエイト、石井工作研究所、ケイティーエス)、大分県は、同県が運営する宿泊療養施設において無人配送ロボットの開発および導入に係る実証実験を行い、宿泊療養施設に入所する療養者への食事配送やゴミ回収の業務で運用したことを発表した。

無人配送ロボット「WILL」(ciRobotics)

 この取り組みでは、宿泊療養業務に従事する職員の負担や感染リスクを低減するため、県内企業グループの技術を合わせて課題解決を目指す。宿泊療養施設内で無人配送ロボットを活用し、運搬業務をフルオートメーション化した取り組みは国内初だという(ciRobotics調べ)。

 新型コロナウイルス感染症の療養者を受け入れる宿泊療養施設では、業務に従事する職員等が療養者の食事配送やゴミ回収を行わなければならず、業務負担軽減や感染リスク低減が課題となっていた。

 そのため2020年5月、宿泊療養施設において、テープ上を走行する無人配送ロボットを弁当配送やゴミ回収に用いる試験的な取り組みを大分県とciRoboticsなどで行い、実際の業務で活用するための課題の洗い出し等を行った。

<課題>
1. ロボット自体が同一フロア内しか移動できないため、業務のため療養者のフロアには行かなければならない。
2. 機体操作の制約上、操作者が電波の到達する同じフロア内でロボットの操作を行わなければならない。
3. 受取等を確認するため、ロボットが到着する都度、各部屋に確認の電話連絡をしなければならない。

(左)運用調整、(右)ラインテープ施工

 具体的な業務に活用できるよう、これら課題の解決を図り、実際に導入・運用を行ったのが今回の取り組みとなる。

取り組み内容

事業概要

 以下のソリューションを実装し、2021年3月4日から2021年4月23日の期間、実際に宿泊療養施設に入所する療養者への食事配送やゴミ回収の業務で運用した。

SLAM技術で走行するロボットにより、ホテル内にライン施工せず指定した部屋へ自動配送
エレベータとロボットを制御し、ロボットが自らエレベータ移動して異なる階層へ自動配送
ホテルの客室にあるテレビシステムと連動し、ロボットの到着および確認を自動で行う

SLAM技術による自動走行
ロボットとエレベータの自動連携
テレビシステムでの受取確認

<導入実証>
※画像はデモンストレーションの様子

配送指示
荷物積載
荷物受取
WILL管理画面
リアルモニタリングシステム

各社役割

FIG :プロジェクトマネジメント
ciRobotics :ロボット開発・システム全体管理
モバイルクリエイト :自動配送システム等開発
石井工作研究所 :ロボット・付帯設備開発
ケイティーエス :マルチメディアシステムとの情報連携
大分県 :実証フィールド提供