2021年7月19日、KDDIとSwift Navigation(本社:米国カルフォルニア州、以下Swift)は、高速移動に強くセンチメートル単位に対応したPPP-RTK方式の高精度測位サービスの提供に向け、業務提携契約を締結したと発表した。KDDIは、Swiftの高精度測位に対応する電子基準点を2021年12月までに全国に設置し、2022年春のサービス提供開始を目指す。

 PPP(Precise Point Positioning:精密単独測位)-RTK方式は、RTK方式の測位精度の高さに、PPP方式のカバー範囲の広さなどを併せ持つ、新しい方式の高精度位置測位の技術である。RTK方式と比べ、10分の1以下の電子基準点の設置数で十分なエリアカバーが可能で、高速移動や広域移動時でも安定した高精度位置測位を提供することができる。

 KDDIは2021年2月に「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じてSwiftへの出資を公表し、日本における同サービスの共同事業展開を検討していた。今後、スマート社会の実現において、ドローンや自動運転ロボによる自動配送、自動運転車の実用化、電動キックボードや小型運転車両などモビリティ分野の進展が見込まれ、これらの安全性や効率化を図るため、安価で高精度な位置測位技術が期待されている。両社は高度なモビリティ社会の実現に向け、多種多様な機器で利用可能な高精度位置測位サービスを展開していく、としている。

両社の取り組み

1. 日本全土をカバーするPPP-RTK対応電子基準点の構築と運営

 PPP-RTK対応の独自電子基準点をKDDIが国内に構築。独自電子基準点は「SKYLARK」クラウドシステムと連携したシームレスな運営・監視や、デュアルアンテナ構成による冗長構成などの特徴を持つ、Swift製の高機能な電子基準点。

2. 共同ビジネスの展開

 両社で共同のビジネスチームを組成し、さまざまな分野で高精度位置測位を活用したユースケース開拓と新しいビジネスの創造を積極的に推進する。また、国内企業による利活用や企業とのプロダクトの共同開発、海外でSwiftの「SKYLARK」サービスを利用するグローバル企業の日本市場展開や、日本企業による海外展開などを共同でサポートする。

3. 企業による利活用ビジネスの支援

 高精度測位を活用したビジネス開発を行う企業をサポートするため、ビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」で共同ビジネス検討や実証実験を行う。また、Swiftの技術者と連携し、開発者向けの技術情報公開や技術セミナーの実施、開発評価ツールやサンプルデバイスの提供など、高精度測位サービスの開発支援活動を予定している。

Swiftについて

 米国のGPSや日本の準天頂衛星システム(QZSS)など、複数の衛星信号を用いたリアルタイム測位のほか、PPP-RTK方式のクラウド高精度測位サービス「SKYLARK」を全米で展開。2020年3月にドイツテレコムと業務提携し、欧州でも提供を開始しており、今後アジアへ事業を拡大する見込み。また、顧客が安価に導入可能となるよう多種多様な機器に対応する測位支援ソフトウェアの開発を行い、高精度位置測位技術の利活用拡大に貢献する。

「SKYLARK」サービス概要