2021年5月20日、ユーラステクニカルサービスと東京電力ベンチャーズは、ユーラスエナジーグループの風力発電設備のドローン点検を実施すると発表した。その対象は170基におよび、国内最大規模だという。

 ユーラステクニカルサービスは、風力、太陽光発電事業を展開するユーラスエナジーホールディングスのグループ会社として、その運転・保守管理を行っている。今後、風力発電設備の大規模化や洋上への進出などが期待される風力発電設備の保守管理において、集中監視システムの導入やドローンを含めた最新の点検ソリューションの検討などに取り組んでいる。

 東京電力ベンチャーズは、風力発電設備の保守管理ソリューションを提供する米SkySpecs社と2020年12月に独占アライアンスを締結している。

ユーラス北野沢ウインドファーム(青森県)での点検の様子

 ユーラステクニカルサービスはブレード点検を人の手で行ってきたが、点検の精度が一定でないことや点検に時間を要すること、また高所作業による安全面も含めた課題があった。これらに対処するため、2019年より複数社のドローンによるブレード点検サービスを比較検討してSkySpecs社を採用。2021年度、同社が運転・保守管理を行う国内発電所のうち13の発電所、総計170基で運用することとなった。

 SkySpecs社によるドローン点検サービスは、自律制御により自動運転で安定した精度の画像を1基あたり15分で取得でき、短期間での点検が可能である。点検に伴う風車設備停止時間が削減されるため、費用対効果に優れる。SkySpecs社のAIは6万基以上の風力発電設備の点検データにより、高い損傷検知能力を持っている。

 国内における陸上風力設備の耐用年数は約20年と言われている。設備の経年化が進むなか、再生可能エネルギーの安定利用のため、風車ブレード損傷の早期発見は重要性が増している。ユーラステクニカルサービスと東京電力ベンチャーズは、保守管理業務のデジタル化を通じて再生可能エネルギーの安定的利用拡大に貢献していく、としている。