2020年12月1日、東京電力ベンチャーズは、SkySpecs, Inc.(本社:米国ミシガン州、以下 SkySpecs)と、風力発電設備のドローン点検における国内独占アライアンスを締結したことを発表した。

 風力発電ドローン点検大手のSkySpecsは、2012年に創業され、世界26ケ国・約56,000基(洋上風力発電含む複数メーカーおよび型式)にのぼる風力ブレード点検の実績をもつ。両社はすでに国内風力発電会社での風力発電設備の点検を実施済みで、点検時間は1基あたり約15分(従来の4分の1)に抑えることができたという。また、同社が提供する設備管理用ソフトウェア「Horizon(ホライゾン)」は、点検後の運営保守の一連業務にも利用が可能で、今後増加が見込まれる風力発電設備の課題解決にも有用である。東京電力ベンチャーズは、洋上風力を含む国内風力発電の収益性向上を支援し、再生可能エネルギーの拡大へ貢献していくとしている。

Courtesy of SkySpecs

 設備管理用ソフトウェア「Horizon」は、豊富な点検実績に基づく風車ブレード画像を機械学習に利用しており、画像解析では損傷個所・損傷程度を精確に判定することができる。また、点検データ保存、損傷分析、補修作業管理といった点検後の一連業務のプラットフォームとしても活用することができ、経年追跡や風車ブレードごとのデータ比較が可能となるのが特長である。

 すでに昨秋、東京電力ベンチャーズとSkySpecsは、国内風力発電会社の約40基で点検を実施し、点検時間は風車ブレード停止から1基あたり約15分、従来の双眼鏡による目視点検の約4分の1に抑えることができている。

 現在、日本国内における風力発電基数は2,500ほどである。今後国内では、洋上風力を中心に、風力発電の導入が拡大することが期待される。一方で、風車ブレードの運用保守においては、点検時間の短縮のみならず点検基準の厳格化の動きがあり、作業員の技能に依存した点検精度のバラつき、データ管理の煩雑さなど多くの課題がある。今回のアライアンス締結では、安定的に自律飛行するドローン制御、保守点検の効率化、点検品質の向上、高精度画像解析データの一元管理など、運用保守面の課題解決とともに国内風力発電市場の活性化を目指すという。

 SkySpecs CEOダニー・エリス氏は「2050年までには、世界の洋上風力発電容量の6割がアジアに所在すると予測されている。その中でも日本は最大の未開拓地と捉えており、このアライアンス締結は絶好のタイミングだ。東京電力ベンチャーズとのパートナシップに心おどる。末長い関係性を期待している」と述べている。

 ドローン点検ソリューションの実用性と成長可能性は、点検の実績数と経験値に依存すると考えられる。東京電力ベンチャーズは、多くの実績に基づくSkySpecsのソリューションを国内の風力発電事業者に体験してもらい、洋上風力を含む国内風力発電の収益性向上を支援し、再生可能エネルギーの拡大へ貢献していくとしている。

SkySpecs,Inc.

 2012年3月、米国ミシガン州に設立。ロボティクス、予兆分析ソフトウェア、そして風力設備に対する専門知識を活用し、風力発電の維持管理のオートメーション事業を行っている。アメリカミシガン州およびオランダアムステルダムに拠点を持つ。日本国内でのアライアンス締結は今回が初となる。https://skyspecs.com/

東京電力ベンチャーズ

 2018年5月設立。東京電力ホールディングス株式会社の100%子会社。顧客への価値創造を第一に、東京電力グループが保有するアセットやノウハウと、事業パートナーの知見・技術を掛け合わせながら、エネルギー領域における新たな事業創出を目指す。https://www.tepcoventures.co.jp/