2021年4月15日、ANAホールディングス(以下ANAHD)とドイツのWingcopter GmbH(以下Wingcopter社)は、固定翼型VTOLドローンを用いた医薬品および日用品等のドローン配送事業化に向け業務提携を締結したことを発表した。日本における新たな地域社会インフラとしてのドローン配送ネットワーク構築を目指す。

 第一弾として2021年3月21日~26日、長崎県五島市福江島~久賀島間にて医薬品配送実証を実施。パイロットや航空機整備士などANAドローンプロジェクトメンバーによる固定翼型VTOL(垂直離着陸機)ドローンの運航を行い、医薬品や血液検体を配送した。

 ANAHDは2016年にドローン事業化プロジェクトを立ち上げ、2022年度(有人地帯での目視外飛行解禁)のドローン配送サービス事業化に向け、2018年度より福岡市、五島市等でドローン配送実証を行ってきた。

 離島や山間地域には長距離飛行が必要なエリアが存在し、実用化に向けて風にも強い機体が求められることから、2019年10月に長崎県五島市にてWingcopter社と実証を行い、機体性能を確認した。

 Wingcopter社の固定翼型VTOLドローンは、垂直離着陸のため離着陸地点の範囲を最小限に抑えられる。また、離着陸時以外は固定翼旅客機のように飛行するため、最大飛行距離は120km、最大速度は約240km/hを実現。最大約20m/sの強風でも自律的な飛行が可能だ。

 2020年度はWingcopter社の日本販売代理店で、同社の固定翼型VTOLドローンのローカライズ化、システム開発など運用実績のあるWorldLink&Companyの協力を得て、ANAドローン事業化プロジェクトメンバーによる運航を行うための訓練を実施。
 2021年3月の実証では、パイロットや航空機整備士といった航空機運航の知見をもったメンバーによる運航を実現した。

 長距離かつ高速で飛行が可能なWingcopter社の固定翼型VTOLドローンの特長を活かして、2022年度の全国の離島や山間地域におけるドローン配送実現を目指し、今後も両社で実証を進めていくとしている。ドローンによる配送サービスの事業化にあたっては、地域のニーズや地域特性によって最適な機体を選定し、ドローン配送ネットワークを構築することを目指す。