2021年4月12日、AOSデータは、ドローンが事故や犯罪に使われた場合にデジタルデータで証拠調査を行う「ドローンフォレンジック」サービスの提供を開始すると発表した。

 2020年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は前年度比37%増の1,932億円に拡大し、2025年度には6,427億円(2019年度の約4.6倍)に達すると見込まれる(※1)。一方、ドローンを禁止エリアで飛行させたなどとして全国の警察が航空法違反容疑でドローンを摘発した件数は、2016年の36件から2020年には85件と増加傾向にある(※2)。

 ドローンが事故や犯罪に使われた際に、事故の原因の特定や犯罪を立証するのが「ドローンフォレンジック」である。ドローンの中に格納されているデジタルデータを解析し、軌跡の分析、コントロールコマンドの解析、写真、動画、日時、速度、高度、移動方向、位置情報などのデジタルデータを取り出し、事件前後がどのような状況であったかを解析し、証拠として抽出する。米国では、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)がドローンフォレンジックのためにドローンのタイプ別のフォレンジックイメージを公開しており、ドローンフォレンジック調査を効率良く行えるよう国家が支援している。

 AOSデータは、2002年よりフォレンジックサービスの提供を開始、PC、携帯電話、スマホ、ドライブレコーダなどのフォレンジック調査を捜査機関や企業、弁護士の依頼を受けて実施してきた。今後は、ドローンフォレンジックに注力し、ドローンに格納されているデジタルデータの復元・抽出・解析作業を行うとしている。

▼ドローンフォレンジック
https://www.fss.jp/drone/

※1 「ドローンビジネス調査報告書2020」(インプレス)https://research.impress.co.jp/report/list/drone/500869

※2 無人航空機に係る航空法違反の検挙事件数の推移「令和2年における生活経済事犯の検挙状況等について」(警察庁)https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/seikeikan/R02_seikatsukeizaijihan.pdf

ドローンフォレンジックの調査事例

空撮中の事故
事故の概要:空撮のためにドローンを飛行させていたところ、突然操作不能となり、隣接するマンションの壁衝突し、窓ガラスに傷を付け、網戸を損傷。
原因調査:ドローンの操作ログを解析したところ、不適切な操作をしていたことが判明。

測量中の事故
事故の概要:測量のためにドローンの自動航行を実施したところ、隣接する樹木に衝突した。
原因調査:ドローンの飛行経路の設定ログを解析したところ、離陸点より70mの高さで水平移動する設定としていたが、飛行場所が急勾配により、高低差が30m程度となり、樹木に衝突したことが判明。

農薬散布中の事故
事故の概要:農薬散布のためにドローンを飛行させていたところ、風に煽られスライドし、付近にいた人と車に接触し、墜落した。
原因調査:ドローンのログを解析したところ、着陸時に傾いて設置したため、着陸判定ができず、その時点でモーターを停止せずに姿勢制御を継続してしまった。設置した際にドローンを安定的に制御するために必要な電圧を下回っていたことが判明。

出典 :「令和2年度 無人航空機に係る事故トラブル等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/common/001342842.pdf